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藍沢「………最初に、暴行を受けたのは 、1ヶ月半前くらいだ。……脳外に、使えない奴らが送り込まれてきて……、指導してたんだが、使えなくてな。新海も西条先生もクタクタだったんだ。指導はしてたんだが……、俺の指導のせいで親に散々言われたって、」
「……親、?」
なんで親が、なんて思って聞いたけれど。
藍沢「……使えない奴ら全員、院長の息子やら、うちで取り扱ってる薬や機械の社長の息子だ。」
「…………あ、そっか、…。」
偉いやつの息子なら、西条先生も断りにくいだろう。
で、そういうやつに限って、腕はなく、それを
指導されれば親を使って脅してくる。
「…そこから、スクラブが切られてたり、……ばあちゃんとの写真も割られた。……」
白石「そんな、」
藍沢「……この痣も、アイツらに殴られたから、……あいつらが俺を院内で呼び出す時なんて暴行を加える時だけだった。
…………お前のせいで人生狂った、って、そう言われた」
…………俺はその言葉に、ズキリと心が痛む。
この10年で藍沢は変わった。
患者に寄り添って、フェローの頃よりも柔らかく、
優しくなった。
…………が、自分の存在を必要だとされたいところは、まだ変わっていない。
"必要とされない"ことを、あいつは1番恐れているはずだから。
藍沢「…………それで、……もし、お前らに真実を話したら、っ、お前らも、俺と同じ目に合わせてやるって、そう言われた。……だから、……っ、」
話すにつれて、呼吸が乱れていく藍沢。
白石「藍沢先生、!」
「藍沢、!落ち着け!ゆっくり呼吸しろ、」
そう言って背中をさするも、
藍沢は呼吸を整えるどころか、荒い呼吸のまま、また話し出した。
藍沢「そんなの、どうにでもなることくらい、分かってた。…でも、っ、もしお前らに、何かあったら……、そう思って、」
まるで藍沢ではないかのように、冷静さを失い、
荒い呼吸をしながら本心を伝えてきた。
…………藍沢は、1人で大きいものを抱えていた。
でもそれは、"俺たちを守るため"で。
「…………もう話すな。…落ち着いてからでいい。」
そう言えば、藍沢ハアッハアッと呼吸をしながら、息を整えた。
しばらくして落ち着いてから、俺はもう一度聞いた。
「…………お前が、そんなことで、自分を傷つけるとは思えない…。」
そう言えば、藍沢は、一息置いて、言った。
「…………母さんのことと、重なったんだ、」
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yuuftykk(プロフ) - さくらもちぱんさん» ありがとうごさいます!!楽しみにしてくれているなんて、とても嬉しいです!!頑張ります!! (2019年4月4日 14時) (レス) id: a80528a29b (このIDを非表示/違反報告)
さくらもちぱん - 藍沢先生がかいた手紙とかほんとうに感動しました!毎回楽しみにしています。これからもがんばってください! (2019年4月4日 14時) (レス) id: cdc2a4987c (このIDを非表示/違反報告)
yuuftykk(プロフ) - 愛子さん» ありがとうございます!!リクエストにお答え出来ていて良かったです!こんな作者ですが、これからもよろしくお願い致します! (2019年4月4日 9時) (レス) id: a80528a29b (このIDを非表示/違反報告)
愛子(プロフ) - リクエストした話読みました。個人的には、これまでの話の中で一番です。これからもリクエストさせていただきます。 (2019年4月4日 2時) (レス) id: 0fe946f898 (このIDを非表示/違反報告)
yuuftykk(プロフ) - 実桃さん» そんなことを言って頂けて、とても嬉しいです!!毎回読んでくださってありがとうごさいます!頑張ります、!! (2019年4月4日 0時) (レス) id: a80528a29b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:自鳴琴 | 作成日時:2019年2月18日 21時