16 ページ42
no side(?)
……母親は、病気で亡くなったと聞いていた藍沢。
けれどそれは、違った。
藍沢の母親は、自ら屋上から飛び降りたのだった。
フェロー2年目の時に絹江さんが再び運ばれてきた時、母親の後を追って亡くなったと聞いていた
父親がまだ生存していることを知った藍沢。
そして、父親から渡された母親からの手紙。
___
お互い未熟だった2人が、子供を作ってしまったこと、ただその事に自責の念を感じるばかりです。
耕作を、よろしくお願いします。
___
そう書かれていたことを知った藍沢。
母さんは、自ら命を絶った。
…………それは、自分が生まれてきたからなのだ、
とそう思い詰めた。
自分が生まれて来なければ、
母親が命を絶つことも、
父親が家を出て、息子には死んだことにしておく人生を歩むことも、
祖母が貧乏なのに、もう60も過ぎているのに、孫のためにと働き詰めな生活を送ることも、
…………全て、なかったかもしれない。
幼い頃、両親がいないことで、『悪い子』だから捨てられた、とそう思って生きてきた。
誰かから、必要とされたい。
…………きっと、それに似た"愛情"が欲しかったのかもしれない。
けれど、その幼き頃の経験のせいか、人一倍に
必要とされなくなることを恐れていた。
『人は必要とされない限り、生きていけない。……医者も同じだ。……患者から必要とされたくて、腕を磨く。』
だから、学校に行きながらもバイトをし、
それに加えて夜遅くまで勉強し、成績は推薦を貰えるように、いつもトップでキープしていた。
成績が良ければ、推薦も貰えるし、奨学金だって貰える。
人付き合いも、友人関係も、全て要らない。
そうやって、生きてきた。
___ここに来るまで、ずっと。
****
…………でも、ここに来て、"仲間"というものを知った。
家族も、友人もまともにいなかった俺にとって、
出会ってからずっと一緒にいる。
祖母に育てられたと言っても、祖母は働きっぱなしで、いつも独りだった。
家族よりも、長く一緒にいる仲間が、
今では俺の"家族"だった。
脳外に移ってからも、どこか、何か足りなくて。
救命に戻ってきた時は、懐かしくて、温かくて、
自分の育った家にでも帰ってきた、そんな気分だった。
****
文字数の関係で、
次ページに行きます。
227人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
yuuftykk(プロフ) - さくらもちぱんさん» ありがとうごさいます!!楽しみにしてくれているなんて、とても嬉しいです!!頑張ります!! (2019年4月4日 14時) (レス) id: a80528a29b (このIDを非表示/違反報告)
さくらもちぱん - 藍沢先生がかいた手紙とかほんとうに感動しました!毎回楽しみにしています。これからもがんばってください! (2019年4月4日 14時) (レス) id: cdc2a4987c (このIDを非表示/違反報告)
yuuftykk(プロフ) - 愛子さん» ありがとうございます!!リクエストにお答え出来ていて良かったです!こんな作者ですが、これからもよろしくお願い致します! (2019年4月4日 9時) (レス) id: a80528a29b (このIDを非表示/違反報告)
愛子(プロフ) - リクエストした話読みました。個人的には、これまでの話の中で一番です。これからもリクエストさせていただきます。 (2019年4月4日 2時) (レス) id: 0fe946f898 (このIDを非表示/違反報告)
yuuftykk(プロフ) - 実桃さん» そんなことを言って頂けて、とても嬉しいです!!毎回読んでくださってありがとうごさいます!頑張ります、!! (2019年4月4日 0時) (レス) id: a80528a29b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:自鳴琴 | 作成日時:2019年2月18日 21時