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藍沢side
目覚めてから、左腕に刺された点滴。
……これはおそらく、抗がん剤。
それのせいか、目覚めてから治まることのない吐き気。
ついさっき、藤川たちと白石が来た時、
"今まで隠してたんだから、こんなことでもしなきゃ治療してくれないと思って" と言っていた。
……左腕の点滴は、抗がん剤。
…バレてしまっている以上、隠すことは当然無理だろうが、これ以上自分のことで負担になりたくなかった。
……弱っている自分を、見られたくなかった。
そんな思いが混ざりあって、やっと出た言葉が
"出ていってくれ" だった。
……酷いやつだと、心配してやってるのに最低だと、どう思われてもよかった。
……ただ、自分の世話をさせて、あいつらの仕事を増やしたくない。
ただでさえ、俺の分の仕事を任されているのに。
全員が出ていった後、堪えていた吐き気が堪えられなくなって、咄嗟に近くにあったゴミ箱をつかみ、そこに吐いた。
「ッゲホゲホッオエッ……ウェッ…っふ、、は…ゲホゲホゲボッッ…っ、あ、」
なかなか止まらない吐き気を何とかして抑えようとした時だった。
ガラッッとドアが開いて、そこに立っていたのは名取で。
名取「藍沢先生!!!っ、大丈夫ですか?……ここに袋置いておきますから…。」
そう言って、取りやすい位置に袋を置いてくれた。
名取「藤川先生達は意地でも貴方をここで治療するつもりらしいですから。」
「…………俺は、そのつもりは、ない。」
名取「…藍沢先生が行った病院、俺の親父の弟が働いてて。そこに連絡して、藍沢先生はうちで引き入れることにしました」
「随分と強引だな。」
名取「それくらい、心配なんですよ。藤川先生達も、……俺達も。」
ボソリ、と呟いた名取。
俺が言葉を返す前に、"失礼します"と言って病室を出て行った。
***
ガラガラッ、と少し雑に開けられたドア。
「藤川……」
藤川「……あのさ、俺、お前を転院させる気なんてねぇからな!…なんで、全部一人で抱え込もうとするんだよ!ちょっとは頼られてもいいくらい、俺だって成長したんだからな!!」
俺だって、と子供みたいに強がってそういった藤川。
「………言わなくて、すまなかった」
藤川「なんだよ、やけに素直になっちゃって。……なんだよ、恋しくなっちゃったか?」
いつものように明るく振る舞う藤川は、今の俺には救世主で。
……俺は
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yuuftykk(プロフ) - さくらもちぱんさん» ありがとうごさいます!!楽しみにしてくれているなんて、とても嬉しいです!!頑張ります!! (2019年4月4日 14時) (レス) id: a80528a29b (このIDを非表示/違反報告)
さくらもちぱん - 藍沢先生がかいた手紙とかほんとうに感動しました!毎回楽しみにしています。これからもがんばってください! (2019年4月4日 14時) (レス) id: cdc2a4987c (このIDを非表示/違反報告)
yuuftykk(プロフ) - 愛子さん» ありがとうございます!!リクエストにお答え出来ていて良かったです!こんな作者ですが、これからもよろしくお願い致します! (2019年4月4日 9時) (レス) id: a80528a29b (このIDを非表示/違反報告)
愛子(プロフ) - リクエストした話読みました。個人的には、これまでの話の中で一番です。これからもリクエストさせていただきます。 (2019年4月4日 2時) (レス) id: 0fe946f898 (このIDを非表示/違反報告)
yuuftykk(プロフ) - 実桃さん» そんなことを言って頂けて、とても嬉しいです!!毎回読んでくださってありがとうごさいます!頑張ります、!! (2019年4月4日 0時) (レス) id: a80528a29b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:自鳴琴 | 作成日時:2019年2月18日 21時