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藤川「なんだ……これ…」
藍沢先生の身体のアザに呆気に取られていた、
その時だった。
藍沢「……ウッ…ガハッ」
名取「!!!吐血しました!!」
藤川「まずい。…吸引してくれ」
灰谷「は、はい、!!」
血液を吸引し、触診していく。
藤川「熱あるな……。体温測ってくれ」
名取「…37,6です」
藤川「……藍沢体温低いから、かなり高めだな…」
と、初療室に橘先生が入ってきた。
藤川「橘先生!!どうされたんですか、」
橘「藍沢が、倒れたって聞いてな。……お前達に言わないといけないことがある。」
走ってきたのか、息切れしながら話す。
橘「ついさっき、藍沢から報告があってな。
……藍沢には言わないでくれ、って言われてるんだが。……藍沢は、
…………急性骨髄性白血病、だ。」
その病名に、作業していた全員の手が止まる。
藤川「うそ、だろ……」
灰谷「……そん、な……」
橘「話は後だ。……処置頼む。」
藤川「分かりました。」
それから、藍沢先生の容態は落ち着いたものの、初療室には重たい空気が流れていた。
****
医局__
橘「…藍沢、この前の休みに他の病院で検査してもらってたらしい。前々から身体の不調はあったらしいがな。」
白石「……そう、だったんですか…」
橘「今週末から休職して治療するつもりだ、って報告に来たんだ。でも、治療は他の病院でするから、お前らだけには言わないでくれ、って言われたんだ。……倒れたから、もう隠せないと思ってな。」
藍沢先生の不調には、ここにいる全員が感じていたことで。
緋山「ほんっと、手の焼ける男ね。」
白石「あの時ちゃんと休め、っていえば良かったわ。」
フェロー達もその会話を聞いているが、何も発さない。
緋山「ま、ここで倒れた以上ここで治療してもらわなきゃね。……絶対 説教してやんだから」
「……そうですね。……こんな大事なこと、隠してたんですから。」
……けれど、私は分かっている。
ずっっとこの10年、この人たちの一歩後ろを歩いて、この人たちをずっと見てきたから。
先頭を突っ走る藍沢先生は、誰よりも冷静で、正確で。
けれど、誰よりも、優しい。
仲間に何かあれば、どこからでも駆けつけてきてくれて、必ずその人を救ってあげる人。
…………迷惑をかけることを、誰よりも恐れていることも。
……きっとこれは、
私たちを思っての "隠し事"だったのだ、と。
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yuuftykk(プロフ) - さくらもちぱんさん» ありがとうごさいます!!楽しみにしてくれているなんて、とても嬉しいです!!頑張ります!! (2019年4月4日 14時) (レス) id: a80528a29b (このIDを非表示/違反報告)
さくらもちぱん - 藍沢先生がかいた手紙とかほんとうに感動しました!毎回楽しみにしています。これからもがんばってください! (2019年4月4日 14時) (レス) id: cdc2a4987c (このIDを非表示/違反報告)
yuuftykk(プロフ) - 愛子さん» ありがとうございます!!リクエストにお答え出来ていて良かったです!こんな作者ですが、これからもよろしくお願い致します! (2019年4月4日 9時) (レス) id: a80528a29b (このIDを非表示/違反報告)
愛子(プロフ) - リクエストした話読みました。個人的には、これまでの話の中で一番です。これからもリクエストさせていただきます。 (2019年4月4日 2時) (レス) id: 0fe946f898 (このIDを非表示/違反報告)
yuuftykk(プロフ) - 実桃さん» そんなことを言って頂けて、とても嬉しいです!!毎回読んでくださってありがとうごさいます!頑張ります、!! (2019年4月4日 0時) (レス) id: a80528a29b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:自鳴琴 | 作成日時:2019年2月18日 21時