. ページ2
.
海人はそのまま真っすぐ松倉のベッドに近づいて、そっと声をかける。
「松倉」
「ん、…かいと、」
痛みで目を開けられないのか、恐る恐る、手探りで伸ばされた松倉の腕を、海人は優しく掴んだ。
「体起こそうか、いつものがいい？」
「ん」
「うん、おいで海斗」
抱きしめるようにして松倉の体を起こして、自分の膝の上に乗せた海人。いつもの、なのかは分からないけど、確かにこの体勢でいるのはよく見る気がする。
海人の腕に収まってもなお痛みを堪えるように涙を流す松倉の頭を、海人はそっと撫でた。
「くらぁ、冷えピタしよう、」
「んん〜っ、」
「嫌じゃないのよ、ちょっと楽になるから」
「んー…」
ほぼ成り立っていないような会話を上手く成立させた海人は、隣においた袋から冷えピタを取り出して、器用に松倉の項に貼り付けた。
その時、海人のスマホが着信を鳴らして。
音にびくりと体を震わせた松倉にごめんごめん、って謝りながら、その頭を自分の肩にくっつけて視界を遮った。
「一瞬スマホ見るから、顔あげないでよ」
「ん、」
しばらく考えて、ようやくそれが、液晶画面で頭痛が悪化しないようにするためだと理解する。細やかな気遣いに、海人といれば頭痛が和らぐ、と松倉が言う理由がちょっとだけわかった気がした。
素早く返信を終えた海人はまた松倉の頭を撫でて、松倉はそれに安心したようにすり寄った。
「はぁっ、！ふ、…ぅ〜、、」
「大丈夫大丈夫。ゆっくり呼吸してみ」
「…ん、…っは、、はぁ、」
「そ、…上手。ちゃんとできてるよ」
「はー…、は、ふ、、んぅ、かいと、」
「ん？…うん、寝れそうならそのまま寝ちゃいな。俺ちゃんと朝までいるから」
「ぅん、…ね、」
「うん？」
「…ちゅ、して、」
びっくりしたように目を見開いた海人は、すぐに優しく笑って。俺に向かってごめんのジェスチャーをしてから松倉の後頭部をそっと包み込んで、
そのまま、すくい上げるようにキスをした。
嬉しそうにふにゃっと笑った松倉の頭を海人は愛おしそうにもう1度撫でて、その耳元にくちびるを寄せた。
「おやすみ。…愛してるよ、海斗」
.
移行しました。
引き続き翡翠をよろしくお願いします！
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 138人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
yukarin - 翡翠様、承認いただきありがとうございます。これからよろしくお願いいたします。 (4月6日 12時) (
レス) id: 4330d63972 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - yukarinさん» メッセージありがとうございます！Xのフォロリク承認させていただきましたのでご確認ください🙇♂️ (4月6日 11時) (レス) id: a2463a8237 (このIDを非表示/違反報告)
yukarin - 翡翠様、初めまして。リアルでは如恵留さん推しのyukarinと申します。お話のカップリングはうみげん一択でしたが、翡翠様のお話を拝読し、うみちゃかの良さを噛み締めております。Xに投稿されたお話も拝読させていただければ光栄です。よろしくお願いいたします。 (4月5日 17時) (レス) id: 4330d63972 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 苺さん» ありがとうございます。いただいたリクエストは順番に書いておりますので、しばらくお待ちください🙇♂️ (3月30日 16時) (レス) id: a2463a8237 (このIDを非表示/違反報告)
苺(プロフ) - はい大丈夫です。 (3月30日 16時) (レス) id: 6da2fe3136 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：翡翠 | 作成日時：2023年11月19日 20時
