最初で最期の走馬灯 ページ30
私の一生は短かった。
生まれてから、成人すらしてない。
神様は私が嫌いらしい。
少し理不尽じゃないか。
窓から校庭のコンクリートまで時間が有り余る。
背中に打ち付ける風は痛く、冷たい。
耳を刺すような風音。
どれも初めて体験する心地。
だったら、死ぬまでの間、この感覚を楽しんでやろうじゃないか。
私の頭の中にふと、一つの思い出が浮かんだ。
たしか、小学校の時だった。
「A〜!」
「あっ!!○○君!」
小学生の私は男子と仲が良かった。
特におそ松達みたいな、一卵性の兄弟と仲良しだった。
いつも一緒で周りからは珍しがられていた。
そんな小学校生活も終了目前だった。
「Aはさ…別の中学行くんだろ…?」
「うん…少しだけ引っ越すんだって…」
「うっうっ…僕やだよぉ…」
「ひっく…お、俺だってやだよ…」
「私もやだな…あっ!じゃあさ、“タイルカプセル”を作ろうよ!」
「タイムカプセル…?」
「うん!私達の思い出を詰め込むの!」
「そうだな!そうしよう!よしっお前らやるぞ!!」
「いっぱいいっぱい詰め込んだら、私達が大きくなった時にみんなで集まって見るの!」
「何を用意すればいい?」
「ん〜…箱かな?あとシャベル!」
「今から家に取ってくる!」
そうして私達は箱の中に
大好きなカード
大好きな人形
大好きな漫画
手書きの手紙
とかいっぱい詰め込んだ。
埋める時にみんなで
『絶対に会おう』って約束した。
可笑しいなぁ…何で今、この思い出なんだろう
元気にしてるかな
約束したのにごめんね。
「名前…なんだっけ…」
私の小さな呟きは風の音に消された。
あんな約束をしたのに名前を思い出せない。
もしかしたら私はもう、死にかけているのかもしれない
そう思うと、涙が浮かんでいった。
ドンッ
背中を強く打ち付けて、私は着地した
うっすらとした意識の中、横目がちに映ったのは私の赤くて、生々しい生きている証拠だった
『…ごめんね』
私は意識を失った
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きゃらめる - 楽しかったし感動しました!死ななくてよかった! (2017年7月18日 18時) (レス) id: ef3996e9aa (このIDを非表示/違反報告)
神野 赤月 - ぅぅぅぅぅぅ!し、死ななくてよかったー!ヽ(;▽;)ノ (2017年7月16日 20時) (レス) id: 1f93e928e5 (このIDを非表示/違反報告)
こと松(プロフ) - 名前さん» 見てくださっただけで感謝です!意味不明な部分やつまらなかった事は本当に申し訳ありません。もっと修行して、名前さんに楽しんでもらえる作品を作りたいと思います! (2016年9月5日 21時) (レス) id: 9f44f3b0b4 (このIDを非表示/違反報告)
こと松(プロフ) - のり巻きご飯さん» お祝いコメントありがとうございます!アンケート、了解しました! (2016年9月5日 20時) (レス) id: 9f44f3b0b4 (このIDを非表示/違反報告)
のり巻きご飯(プロフ) - 完結おめでとうです♪1でお願いします^^ (2016年9月5日 20時) (レス) id: 8bfa91c907 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こと松 | 作成日時:2016年7月2日 10時