漆拾弐話 ページ38
『「飽きたから殺,す」とか「面白いから生かす」とか…相変わらず思考が読めない奴』
くつり、笑うとハギワラも呆れたように笑った。
「…1つ、聞いていいかな」
『なんだよ』
「今私は貴方になぁんにもしてないんだけどね?さっきの少年の異能は"自分を傷付けた相手を詛う"能力。詛われた相手は狂乱して周囲を無差別に襲うらしいのだけど。_____平気でいられるのはどうして?」
彼女の質問に、俺は笑うのをやめる。
「シマにも、何もさせてないからね?」
『
「私が其れを聞いてるの」
「消えろ」
太宰が異能力を使ったのだろう。
ハギワラは消え、女性が倒れ柱は壊されている駅に戻った。
「太宰さんの新しいお友達、ずいぶん壊れやすいんだね。けどいいんだ。太宰さんを壊す楽しみが残っているもの☆」
「其れはおめでとう」
「ぼくを閉じ込めたお礼に、いっぱい苦しめて壊してあげるね」
「善く憶えているよ。君ひとり封印する為に大勢死んだ。……けど次は封印などしない。心臓を刳り貫く」
「ふふふ、また遊ぼうね。太宰さん☆」
ばたんと扉が閉まり、列車は駅を出る。
「私も策の清濁に拘ってる場合では無い……か。行くよ敦君、A君」
敦は四つん這いになって動かない。
「立つんだ」
『敦』
俺と太宰は敦に近寄った。
「駄目だ……。僕は駄目だ……。僕は居ちゃいけなかったんだ……」
「敦君」
太宰が敦の顔を上げさせたかと思うと、思いっ切り叩く。
『うわぁ…』
「君から過去を取り上げる権利は私にはない。だが偶には先輩らしい助言でもしよう。自分を憐れむな。自分を憐れめば、人生は終わりなき悪夢だよ」
人生は終わりなき悪夢、か。
云えてるかもな。
「さあそろそろ反撃といこう。こちらも手札を切るよ」
太宰と敦が立ち上がったのを確認してから、俺は事務員に近寄る。
「三百ある中で一番刳い鬼札をね。この戦争に、政府機関を引き摺り込む」
太宰がにっこりと笑った。
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ぴみゃ - ドストさん絡みの男主のお話で一番好きです。頑張ってください、応援してます! (2018年5月24日 21時) (レス) id: a5e208826f (このIDを非表示/違反報告)
彼岸(プロフ) - 黒翔さん» 調べてみたらそうでした…。ご指摘有難う御座います (2018年4月7日 20時) (レス) id: 5d298c47da (このIDを非表示/違反報告)
黒翔(プロフ) - どうでもいいし細かいんですけどフョードルの愛称みたいなものってフェージャじゃないんですか?() (2018年4月7日 20時) (レス) id: 8b992b69e6 (このIDを非表示/違反報告)
晋陽 - ドストさん癒し!!更新待ってます! (2018年4月1日 23時) (レス) id: c1e93ed5ca (このIDを非表示/違反報告)
彼岸(プロフ) - 零さん» 癒しになって良かったです…。有難う御座います! (2018年1月12日 20時) (レス) id: 5d298c47da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:曉 | 作成日時:2017年10月15日 22時