陸拾陸話 眸ニ実レリ怒リノ葡萄 ページ31
「89、90、91……92、93、94……」
「んー……たとえ地の果ての国でも、田舎は心安まるね」
何かを数えている長髪の男_ハワード・フィリップス・ラヴクラフト_とにこやかに伸びをする男_ジョン・スタインベック_。
「……何してるの?」
「木目を数えている……。この国は木造建築が多い」
「それ印刷だよ」
ラヴクラフトは凄い顔をしながらジョンを見た。
「……で?君はなんで此処にいるの?」
「………ほんとは嫌なんだよォ?でもね、御主人様が付いて行って映像を送ッてこい、なんて云うんだもーん。あ、勿論手出しはしないから安心してよォ」
「そ。_…さて、マフィアからの
「明らかに我々を誘い出す為の罠だ……。何故行く?」
「「君達の能力なら罠ごと粉砕できるだろう?」だってさ。其れに今回は、『餌』が魅力的だ」
スタインベックは山奥の旅館を指差す。
「誘拐でもすれば、探偵社には勝ったも同然だよ。……イシュリーも居れば良かったのにねぇ?」
彼はボクを見るが、其れは無視した。
暫くして、旅館に着く。
「いいロッジだ。土地も……耕せばいい果樹園になる」
「今………視線を感じた。標的に……見られた」
「あぁ、分かってるよ。ところでラヴクラフト。君は面倒って好き?」
「……息をするのも面倒臭い」
何故生きてるのか疑問なんだけどォ。
「だろ?僕も面倒は嫌いだ。何も好んで手間を掛ける事もない。こんな山奥から逃げるには車しかないんだから、駐車場で待ち伏せしよう」
ボク等は駐車場に出る扉へ向かった。
「駐車場へ出るドアは此処だけだね」
「ほ……捕獲の方法は?」
「君の能力だと彼女たちの首がもげる」
「きッぱり云うんだねェ…」
「事実だからね。僕の『葡萄』でいこう」
スタインベックは袋から2粒程種を取り出して折り畳み
其処へ、種を入れると葡萄の枝が生えてきた。
「さてお嬢さん方、葡萄は好きかな?」
沈黙が続いた後、「そこか」とスタインベックが呟く。
「行くのォ?」
「走ってるからね。まだ間にあうかも」
とある道路で、スタインベックの出した木の根が車を捕えた。
ある程度潰した処で、其れを止める。
「申し訳ないね、お嬢さん方」
車の窓から、探偵社の事務員が顔を此方に向けた。
「まさか、裏をかかれるとは。流石探偵社は隅々まで人員が行き届いてるね」
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ぴみゃ - ドストさん絡みの男主のお話で一番好きです。頑張ってください、応援してます! (2018年5月24日 21時) (レス) id: a5e208826f (このIDを非表示/違反報告)
彼岸(プロフ) - 黒翔さん» 調べてみたらそうでした…。ご指摘有難う御座います (2018年4月7日 20時) (レス) id: 5d298c47da (このIDを非表示/違反報告)
黒翔(プロフ) - どうでもいいし細かいんですけどフョードルの愛称みたいなものってフェージャじゃないんですか?() (2018年4月7日 20時) (レス) id: 8b992b69e6 (このIDを非表示/違反報告)
晋陽 - ドストさん癒し!!更新待ってます! (2018年4月1日 23時) (レス) id: c1e93ed5ca (このIDを非表示/違反報告)
彼岸(プロフ) - 零さん» 癒しになって良かったです…。有難う御座います! (2018年1月12日 20時) (レス) id: 5d298c47da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:曉 | 作成日時:2017年10月15日 22時