陸拾壱話 三社鼎立 ページ21
「う……」
ゆっくりと目を覚ますと、薬品の匂いが鼻を刺激する。
「!?」
目を覚したのは良いものの、何故か身動きが取れない事に気が付いた。
こつり、靴の音が聞こえる。
「さァ、治療の時間だよ!」
声を出したのは与謝野さん。
彼女の手には、電動鋸。
「ひ………ひぎゃぁぁぁぁあぁぁ!」
此れから起こる事を想定して、悲鳴をあげる事しか出来なかった。
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社の机に顔を伏せる。
「全く、腑甲斐ないねェ。
「工合は如何だ」
奥の部屋から、社長が出て来た。
国木田さんが伏せていた顔をあげ眼鏡をかける。
「社長、申し訳ありません。俺が居ながら…」
「佳い。少し出る」
「でも、今外出は……」
ばたん、と音を立てて社長は武装探偵社を出て行った。
「はぁ……ありゃ相当鶏冠に来てるね」
「?」
「あ、そうだ。敦」
「は、はいっ!」
与謝野さんに名前を呼ばれ、伏せていた顔をあげる。
「他の奴もそうだけど……Aに感謝するんだね。彼奴があんた達を運んでくれたんだからねェ」
「え、あ。そうなんですか!?……で、Aは何処に?」
「此処此処」
ひらひらと手を降る太宰さん。
近寄ってみると、長椅子に寝ているAの姿があった。
「皆が起きたら起こしてくれって云われたんだけど…」
太宰さんと僕はAの顔を見る。
「起こせれませんね。こんな顔されてると」
「そうだねェ…」
凄く安心したような顔で寝ている彼。
其の時、誰かの電話の音が鳴った。
「誰の電話だい?」
与謝野さんが探偵社の皆を見るが、首を降る。
「Aの…?」
「一寸失礼」
「太宰さん!?」
太宰さんが寝ているAのポケットを探り出した。
そして、携帯を取り出す。
「鳴ってます…ね」
「敦君、出てよ」
「え!?人の携帯ですよ!?」
「でもおかしいのだよ?A君の携帯には我々探偵社の電話番号しか入っていない筈だ」
「っ!」
「却説……誰からだろうね」
「もっ……もしかしたら、社長かもしれませんよ!?」
「社長はさっきまで探偵社にいた。つまり……A君が寝ているのは知っている筈だけど」
「…」
「確かめてみてくれ給えよ、敦君」
「…………判りました」
太宰さんから携帯を受け取り、釦を押して耳に当てた。
息を吸って、何かを云おうとした時。
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ぴみゃ - ドストさん絡みの男主のお話で一番好きです。頑張ってください、応援してます! (2018年5月24日 21時) (レス) id: a5e208826f (このIDを非表示/違反報告)
彼岸(プロフ) - 黒翔さん» 調べてみたらそうでした…。ご指摘有難う御座います (2018年4月7日 20時) (レス) id: 5d298c47da (このIDを非表示/違反報告)
黒翔(プロフ) - どうでもいいし細かいんですけどフョードルの愛称みたいなものってフェージャじゃないんですか?() (2018年4月7日 20時) (レス) id: 8b992b69e6 (このIDを非表示/違反報告)
晋陽 - ドストさん癒し!!更新待ってます! (2018年4月1日 23時) (レス) id: c1e93ed5ca (このIDを非表示/違反報告)
彼岸(プロフ) - 零さん» 癒しになって良かったです…。有難う御座います! (2018年1月12日 20時) (レス) id: 5d298c47da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:曉 | 作成日時:2017年10月15日 22時