肆拾陸話 ページ49
次の日、いつも通りの時間に出社すると騒がしかった。
「おい。朝刊見たか!?」
国木田が慌しく探偵社に入ってくる。
其の右手には新聞紙が握られていた。
「
【事件現場です!ご覧下さい。七階建ての建物が、一夜にして消滅してしまいました!一部情報筋では、消滅した建物はポートマフィアのフロント企業が入っており、構成員の事務所として使われて居たとの情報もあります。市警では、敵対組織による襲撃の可能性もあると見て、軍警に協力を要請しつつ_____】
「『メッセージ』とは此れか」
「矢張り寮にも、賢治君はいません」
国木田は新聞紙を、谷崎君は宮沢君の帽子を握り締める。
「逆らう探偵社も用済みのマフィアも凡て消す、か」
社内が、慌しくなった。
「谷崎。此れ以上単独で動くな。敦と浅間と組んで賢治を捜せ。太宰は俺と会議室に来い。社長会議だ」
『会議の方が良かった…』
「敵と接触しても、戦わずに逃げろ!」
敦と俺、谷崎君兄妹は大通りで宮沢君を探している。
「あんなにピリピリした探偵社は初めてね」
横断歩道を渡ろうとするが、信号が赤になったので立ち止まった。
「ナオミ。矢ッ張り社に戻るンだ」
「嫌よ。ナオミも捜索を手伝うわ。こんな時に兄様と離れたくない」
「危険過ぎる!」
「危険は社も同じよ。建物ごと消されるわ。ねぇ、敦さん。そうでしょ?」
「え!?そ………其れはまぁ」
『兄妹喧嘩なら他所でやってくれ…』
小さく溜息をはくと谷崎君が低い声を出す。
「敦君。君と違って、妹には異能が無いンだ。足を引ッ張る」
「何よ兄様。ナオミの云う事は何でも聞くと云ったじゃない」
谷崎君の肩が、大きく跳ね上がった。
「き、昨日の夜のアレはお前が無理矢理……!」
其処まで云うと、彼の顔が徐々に赤くなる。
「……何でもありません」
赤くなった顔を服の袖で隠す谷崎君に対し、ナオミちゃんは勝ち誇ったような顔だ。
そんな事をしていると、信号が赤から青に変わる。
周りの人が横断歩道を渡るためわ歩き出した。
「と……兎に角!事務員は社に戻るンだ!」
「あらあら。何なら昨日の懇願を思い出させてあ_」
彼女の声が、途中で途切れる。
嫌な予感がして俺達は後ろを振り返るが、其処に彼女の姿は無かった。
「……ナオミ?」
「……真逆」
『おいおい、嘘だろ?』
「ナオミッ!?」
谷崎君が走り出す。
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匿名part2 - 浅間ってなんかハーフみたいで変 (2018年2月28日 21時) (レス) id: 86c88d0ffc (このIDを非表示/違反報告)
赤影真未(プロフ) - 面白かったです!すぐに続編読みますね! (2017年10月19日 2時) (レス) id: 7f3c790d7e (このIDを非表示/違反報告)
夕月(プロフ) - 匿名さん» 申し訳ありません。まだその様なシーンを出していない為、忘れておりました。速攻で出しますのでご了承ください (2017年5月21日 19時) (レス) id: 5f9b98437e (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - これは同性愛ですよね?BLフラグを立てて下さい。違反の対象となります。 (2017年5月21日 19時) (レス) id: 8d53b1880e (このIDを非表示/違反報告)
マロンクリーム - 面白いです!楽しみに待ってます(`・ω・´)頑張ってください! (2017年5月20日 5時) (レス) id: 9f03df5593 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:曉 x他1人 | 作成日時:2017年1月9日 23時