弐拾捌話 Murder on D Story ページ30
「また殺人事件の解決依頼だよ!此の街の市警は全く無能だねぇ…。僕なしじゃ、犯人一人捕まえられない」
にやにや、と言葉が合いそうな程な笑顔をしながら散らかった探偵社の事務所を歩き回る江戸川さん。
「でもまぁ、僕の『超推理』は探偵社…いや、この国でも最高の異能力だ!皆が頼っちゃうのも仕方ないよねぇ!」
楽しそうに歩き回っていた彼が、一冊の本を踏んだ。
「あ、乱歩さん。その足元の本、横の棚に戻さないと」
「此れは失礼。はい、どうぞ」
江戸川さんは足を退けて、本棚を指差す。
敦がしどろもどろしていると、国木田が本を棚に戻した。
「頼りにしてます。乱歩さん」
「そうだよ、国木田。君等は探偵社を名乗っておいて其の実、猿ほどの推理力もありゃしない。皆、僕の能力『超推理』のお零れに与っているようなものだよ?」
そんなに凄い異能力なんだな、「超推理」って。
「凄いですよね、『超推理』。使うと、事件の真相が判っちゃう能力なんて」
「探偵社の、全異能力者の理想です」
「はっはっは、当然さ」
いつの間にか彼の周りにいた探偵社の社員。
数分すると、自分の持ち場に戻り片付けを再開し始めた。
「小僧共、此処はいいから乱歩さんにお供しろ。現場は鉄道列車で直ぐだ」
『宜しくお願いします。江戸川さん』
「ぼ、僕たちが探偵助手ですか?そんな責任重大な」
「真逆。二流探偵じゃあるまいし、助手なんて要らないよ」
「え?じゃあ何故」
敦の問いに、江戸川さんはにこりと笑う。
「僕、列車の乗り方判らないから」
凄く申し訳ない気持ちになりながら探偵社を出た。
敦の背中を追いながら、のんびり歩く。
「少し聞いてもいい?」
江戸川さんに話しかけられ、肩を揺らした。
「君、本当に家無き子なの?」
『家無き子ですよ。どうしてそんな事を…』
「銃弾を避けるだなんて、一般人は出来ないから」
何処まで見てんだ、此の人は…。
『一般人ですよ。銃弾の避け方は昔、友人が教えてくれたんです』
「そんな友人いたんだ」
『……俺の事聞いて面白いですか?』
「君は謎が多いからね。知りたいと思うのは悪い事じゃないでしょ?」
『そうですけど…。江戸川さんがそんな事思ってくれてるのは光栄です』
「其の"江戸川さん"ってやめない?乱歩でいいよ。親睦を深める為にもね」
親睦、ねぇ…。
いつかは探偵社から離れるのにな。
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匿名part2 - 浅間ってなんかハーフみたいで変 (2018年2月28日 21時) (レス) id: 86c88d0ffc (このIDを非表示/違反報告)
赤影真未(プロフ) - 面白かったです!すぐに続編読みますね! (2017年10月19日 2時) (レス) id: 7f3c790d7e (このIDを非表示/違反報告)
夕月(プロフ) - 匿名さん» 申し訳ありません。まだその様なシーンを出していない為、忘れておりました。速攻で出しますのでご了承ください (2017年5月21日 19時) (レス) id: 5f9b98437e (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - これは同性愛ですよね?BLフラグを立てて下さい。違反の対象となります。 (2017年5月21日 19時) (レス) id: 8d53b1880e (このIDを非表示/違反報告)
マロンクリーム - 面白いです!楽しみに待ってます(`・ω・´)頑張ってください! (2017年5月20日 5時) (レス) id: 9f03df5593 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:曉 x他1人 | 作成日時:2017年1月9日 23時