拾壱話 ページ12
『敦!』
「まぁまぁ、国木田君。君がやると情報収集が尋問になる。社長にもいつも云われてるじゃないか」
何時もかよ、なんて呆れていると敦は渋々椅子に座った。
「それで?」
「………うちのいた孤児院は、あの虎にぶっ壊されたんです。畑も荒らされて、倉も吹き飛ばされて……死人こそ出なかったけど貧乏孤児院がそれで立ちいかなくなって、口減らしに追出された」
悔しそうに、拳を握る敦。
「そりゃ災難だったね」
『敦、「殺,されかけた」って…』
「あの人喰い虎……孤児院の畑の大根食ってりゃいいのに。此処まで、追いかけて来たんだ!」
机を殴る
「彼奴、僕を追って街まで降りてきたんだ!空腹で頭は朦朧とするし、何処をどう逃げたのか…」
「其れ、いつの話?」
「院を出たのが2週間前。川で彼奴を見たのが…4日前」
「確かに、虎の被害は2週間前から此方に集中している。其れに、4日前に鶴見川で虎の目撃情報もある」
太宰が、にこりと笑った。
「敦君、A君。此れから暇?」
「……猛烈に嫌な予感がするのですが」
「君が『人喰い虎』に狙われてるなら好都合だよね。虎探しを手伝ってくれないかな」
「いいい、嫌ですよ!それってつまり、『餌』じゃないですか!誰がそんな」
「報酬出るよ」
ぴたり、体が止まる敦。
「国木田君は社に戻って、此の紙を社長に」
「おい、三人で捕まえる気か!?まずは情報の裏をとって_______」
「いいから」
太宰の、射抜くような瞳が俺を捉えた。
「ち、ちなみに報酬は…いかほど」
「こんくらい」
計算機を敦に見せると、「ついて行きます!」と云った。
『くすっ』
_______海の近くにある、廃倉庫に俺達はいた。
太宰は完全自 殺本と書かれた本を読んでいるし、敦はと云ったら木箱の上で三角座りしていた。
俺は敦の反対側の木箱に座って、林檎で遊んでいる。
「……本当に此処に現れるんですか?」
「本当だよ。心配はいらない。虎が現れても私達の敵じゃないよ。こう見えても『武装探偵社』の一員だ」
「はは、凄いですね。自信のある人は。僕なんか、孤児院でもずっと『駄目な奴』って云われてて_______そのうえ、今日の寝床も明日の食い扶持も知れない身で」
敦の顔に、影が掛かる。
「こんな奴が、何処ぞで野垂れ死,んだって、いや、いっそ喰われて死,んだ方が」
「_______却説、そろそろかな」
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匿名part2 - 浅間ってなんかハーフみたいで変 (2018年2月28日 21時) (レス) id: 86c88d0ffc (このIDを非表示/違反報告)
赤影真未(プロフ) - 面白かったです!すぐに続編読みますね! (2017年10月19日 2時) (レス) id: 7f3c790d7e (このIDを非表示/違反報告)
夕月(プロフ) - 匿名さん» 申し訳ありません。まだその様なシーンを出していない為、忘れておりました。速攻で出しますのでご了承ください (2017年5月21日 19時) (レス) id: 5f9b98437e (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - これは同性愛ですよね?BLフラグを立てて下さい。違反の対象となります。 (2017年5月21日 19時) (レス) id: 8d53b1880e (このIDを非表示/違反報告)
マロンクリーム - 面白いです!楽しみに待ってます(`・ω・´)頑張ってください! (2017年5月20日 5時) (レス) id: 9f03df5593 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:曉 x他1人 | 作成日時:2017年1月9日 23時