34-Na ページ34
玄関にはチェーンがかかっていた
僅かな隙間から室内に呼びかけると
蚊の泣くような声で
『けいちゃん…？』
と反応があった
ゆっくりとチェーンが外され
玄関を勢いよく開くと
涙と鼻水で顔をぐちゃぐちゃにしたAが
胸の中に倒れ込んできた
崩れ落ちてしまわないように
脇の下に腕を通して しっかりと抱きしめる
「どうした」
『だれかが…そこから…わたしをみてた』
「そこ」と指さしたのは
玄関のドアと一体化した郵便受け
Aの呼吸は荒く手も震え 軽い過呼吸を起こしていた
「落ち着け ゆっくり息をすればいい」
宥めようとすればするほど
Aの呼吸は浅くなる
一か八か Aの鼻をつまんで唇を合わせる
そっと息を吹き込み 離れる動作を繰り返した
『んっ、け、ちゃん もう大丈夫』
涙目のAの頭を撫でながら
玄関の鍵を閉めようと手を伸ばした時
ドアが引かれた
咄嗟に閉めようとノブを握ると
相当な力で外側へと引かれる
「誰なんだっ!!」
俺の声が響いた
「ﾁｯ 男連れかよ」
中性的な声だった
ドアを開けようとしていた人物は
一言こぼすと階段を駆け下りていった
追いかけようとしたが 不安定なAを
1人にできないと思いとどまった
鍵を閉めてしっかりチェーンをかける
振り返るとAは縮こまって震えていた
「A」
胸の中に抱き寄せると
ふっと身体の力が抜けて 背中に腕が回った
『こわい…』
何も言わずにAを抱き上げて
寝室まで運び ベッドに寝かせた
「明日からは俺の家に来い」
『そうする 系ちゃんお願い 今日だけでいいから一緒に寝て』
ちゃんとした布団で寝るのは久々な気がする
暗闇の中 腕の中で小さな寝息をたてるA
左手で起こさない程度にAの身体の輪郭をなぞる
『ん…』
Aが少し身じろいだ
夕希子より少し小さいその身体を 愛しいと思った
正反対の2人を未だに比べてることを
夕希子が知ったら「ばかじゃないの」なんて
太陽にみたいに暖かい顔で笑うだろうか
それとも鬼のように恐ろしい顔をして
「私のことは忘れて」と怒るだろうか
Aの心臓は どくどく と規則正しくリズムを刻んでいた
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おくら(プロフ) - 青龍 葵さん» 長いこと放置してしまい申し訳ありません。26はsideなしの会話文な為、数字のみの表示にさせて頂きました。いつもコメントありがとうございます!! (2018年9月24日 0時) (
レス) id: 90c9252683 (このIDを非表示/違反報告)
青龍 葵(プロフ) - お久しぶりです。少し気になったのですが「26」だけ数字のみなのは何か理由があるんですか？また完結まで頑張って下さいね！ (2018年9月4日 17時) (レス) id: e202ca34d9 (このIDを非表示/違反報告)
おくら(プロフ) - 青龍 葵さん» お返事遅れてしまい申し訳ございません…!郵便ポストから覗かれたら怖いですよね、笑 想像するだけでゾッとします！いつもありがとうございます！ (2018年4月21日 23時) (レス) id: 90c9252683 (このIDを非表示/違反報告)
青龍 葵(プロフ) - あれっ？ストーカーの犯人は「女性」かと思ってたら、まさかの「男性」が登場！けど郵便ポストから中を覗く目はヤバイですね(;´･ω･)ホラーっぽくて一瞬ゾッとしちゃいましたｗでも犯人は誰なのか気になる半面、夢主の可愛い一面が見れて良かったです。次回も楽しみ！ (2018年4月5日 16時) (レス) id: a3d4cc2e55 (このIDを非表示/違反報告)
おくら(プロフ) - 青龍 葵さん» ご指摘ありがとうございます。すぐに訂正させていただきます!! (2018年3月29日 23時) (レス) id: 90c9252683 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おくら | 作成日時：2018年3月7日 0時
