検索窓
今日:1 hit、昨日:4 hit、合計:77,083 hit

35-Do ページ35

朝日が昇る少し前

目が覚めて最初に視界に入ったのは 上下する胸板

そこに顔を埋めて 大好きな匂いを吸い込んだ

何も見えなくても 貴方をすぐに思い出せるように

ゆっくり系ちゃんの身体の輪郭をなぞる


「ん"ん…ど、した なにかあったか」


寝起きの舌っ足らずな喋り方が可愛らしい


『もし何かあった時 すぐに系ちゃんを思い出せるように 隅々まで覚えとこうと思って』


そう言うと 視界がぐるりと回って

系ちゃんに押し倒されていた

優しい口付けが 額 鼻筋 瞼 頬 唇 顎 鎖骨 と

たくさん降ってくる

愛されてるなぁと 心が満たされていくようだった


『ふふっ
…ねぇ 系ちゃん お願いがあるの』

「なんだ」


肘を私の顔の横について 至近距離で会話する

私を見つめる眼差しは柔らかかった


『私が死ぬ直前まで ずっと隣にいて手を握ってて それから 出来ることなら系ちゃんのその手で 私を解剖して』


系ちゃんは目を見開いて 数回まばたきをした

私の前髪を真ん中で分けて 額に1つ キスをする


「年齢的に 俺の方が先に死ぬ」

『それじゃあ 系ちゃんが死んだら 私が系ちゃんを解剖する』

「あぁ」

『だからお願い ずっとずっとこの手の届く距離にいて』

「お前も 勝手にいなくなるな」

『うん』


朝日が登ってきて 室内が少しずつ明るくなる

遠くから鳥の鳴き声が聞こえてきた


『幸せにして なんて言わないから 隣に居させて』

「Aのことを幸せにできないかもしれない それでもお前が望む限り 俺はお前の隣にいる」

『うん』


今この瞬間 私は世界で1番幸せだと胸を張って言える


空は蒼く澄み渡り 雲ひとつない

清々しい空中を 何羽かの鳥が飛び去った

裸の木々や 濃い緑を纏った木々が

風に かさかさ と音を立てる

早朝ランナーの微かな足音






嗚呼、何と浪漫溢れる朝なのだろうか。

36-Do→←34-Na



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (70 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
206人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

おくら(プロフ) - 青龍 葵さん» 長いこと放置してしまい申し訳ありません。26はsideなしの会話文な為、数字のみの表示にさせて頂きました。いつもコメントありがとうございます!! (2018年9月24日 0時) (レス) id: 90c9252683 (このIDを非表示/違反報告)
青龍 葵(プロフ) - お久しぶりです。少し気になったのですが「26」だけ数字のみなのは何か理由があるんですか?また完結まで頑張って下さいね! (2018年9月4日 17時) (レス) id: e202ca34d9 (このIDを非表示/違反報告)
おくら(プロフ) - 青龍 葵さん» お返事遅れてしまい申し訳ございません…!郵便ポストから覗かれたら怖いですよね、笑 想像するだけでゾッとします!いつもありがとうございます! (2018年4月21日 23時) (レス) id: 90c9252683 (このIDを非表示/違反報告)
青龍 葵(プロフ) - あれっ?ストーカーの犯人は「女性」かと思ってたら、まさかの「男性」が登場!けど郵便ポストから中を覗く目はヤバイですね(;´・ω・)ホラーっぽくて一瞬ゾッとしちゃいましたwでも犯人は誰なのか気になる半面、夢主の可愛い一面が見れて良かったです。次回も楽しみ! (2018年4月5日 16時) (レス) id: a3d4cc2e55 (このIDを非表示/違反報告)
おくら(プロフ) - 青龍 葵さん» ご指摘ありがとうございます。すぐに訂正させていただきます!! (2018年3月29日 23時) (レス) id: 90c9252683 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:おくら | 作成日時:2018年3月7日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。