奏 (ページ5)

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４話ページ5

「へえ…。その後輩、ボーダーうらぎったらどう責任取るの？相手は近界民(ネイバー)だよ。あんたの副作用(サイドエフェクト)があったとしても全て保証できないでしょ？」

私はニヤリと迅さんに笑った。見下してるのかもしれないし、自分に自惚れてるのかもしれない。

「そうだな。おれが保証するよそれは。クビでも全財産でも賭けてやる。」

「おれ」がか。迅さんのruby:副作用:サイドエフェクト)ではなく、迅さん自身が保証するってことか。その近界民(ネイバー)のことを。

「何かあってからでは遅いのはあんたも重々知ってるでしょ？あんたが見えなかった未来だって数あるでしょ？」

「そうか。じゃあ。」

迅さんは風刃を取り出した。狙撃手(スナイパー)達は建物の上に飛び移った。それ以外はそれぞれ武器を構えた。

トリオンの弾丸のようなものが、壁に伝わっていく。なんだろうこれは。それは殺意と信念で満ち溢れていた。嗚咽するような、とても聞きたくない音だった。

それが私の背中とまたその背後に音は伝わった。

「……っ……シールド！」

咄嗟の判断でその方向に集中シールドを貼った。

それはシールドを割って私の背中に目掛けて刺しに来た。咄嗟に後ろに下がったが、かなり傷を追ってしまった。トリオン供給器官には刺さっていないものの、かなりのトリオンを失ってしまった。あと1発でも貰ったらすぐにベイルアウトしてしまいそうだ。

それと同時に1本の光の線がボーダー本部に向かっていった。

「いやー、殺しきれなかったかー。」

そう迅さんはヘラヘラと笑った。見慣れた迅さんの顔だ。

「ムカつくわ……ほんっと。」

脇腹を抑えながら迅さんを見上げる。その背後には、3つの足音が聞こえた。

「嵐山隊現着した。忍田本部長の名により玉狛支部
に加勢する！」

「嵐山隊．．．。」

「嵐山達がいればはっきり言ってこっちが勝つよ。おれの副作用(サイドエフェクト)がそう言ってる。おれだって別に本部と喧嘩したいわけじゃない。退いてくれるとうれしいんだけどな。太刀川さん。」

嵐山隊も加勢するとなると迅さんの言うとうり勝率はかなり低い。菊地原はベイルアウトして風間隊の連携も取りにくくなってるし、私も半ベイルアウト状態だ。

「『未来視』の副作用(サイドエフェクト)か。ここまで本気のお前は久々に見るな。面白い。お前の予知を覆したくなった。」

太刀川さんは弧月を構えてそうニヤリと笑った。