奏 (ページ15)

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14話ページ15

空閑side

すずかぜせんぱいは何故か知らないけど、おれの事を嫌ってるというのは確かだった。

弧月を2つ作って、隙を作らない様にしてる戦法は確かに上手いと思う。でも、この人はA級1位の実力を持つほど強いとも思えない。

今のところ、4-2でおれが有利にたっている。

黒いコートをひらひらとたなびかせて、せんぱいは弧月を構える。どちらかはトリオン体には効かない弧月だ。

『弧月をしまってる状態で使ってるのだと推測できる。』

おれの耳元でレプリカはそう言った。つまり、片方の弧月は斬ることが出来ない。ということだ。

「あんたの動きは頭に入れた。……ぶった斬る。」

「へえ、面白いじゃん。」

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Aside

「ああぁぁぁぁあ負けたぁあぁぁぁぁ。」

そこにある空間いっぱいに叫んだ。正直勝てる気はしてた。勝算はあった。作戦も上手く行った。

ただ相手が強かっただけだ。

「おい、いつまでボサっとしてる。」

ここに居るはずではないのに、聞いた事のある声がした。こいつは……。

「うるさいだまれ船に乗れない荒船……って荒船さん？？！！」

「お前……ブースこい。ぶった斬ってやる。」

「え、なんで荒船さんいるの？」

いやなんで荒船さんいるの？え？私聞いてない。ワタシキイテナイ。

「お前らが遅いから狙撃手(スナイパー)の合同訓練終わったんだよ。」

「なるほどなるほど。……てえ？」

そんなに私は長いこと時間を過していたのか。

「帰るぞ。」

なあ、Ｃ級に負けたんだって。あいつ。

軽蔑

どうやってA級に上がったんだよじゃあ。

優越感

どうやっても何も．．．チームメイトが強かっただけなんじゃねえの。

哀れみ

彼らの言うことは間違ってない。紛れもない事実だ。私が太刀川隊にいる理由は？私にも分からない。私は強くない。間違っても自惚れるような事はしてない。

「おい……お前ら！」

私は荒船さんが声を荒らげようとするのを横目で見て逃げるように去った。

悔しい。でもそれ以上に心の奥底で何かが喪失したようだった。