奏 (ページ11)

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10話ページ11

「．．．てことがあったんですよ。柚宇さん物渡すんならボーダーでしてくださいよ。」

「ごめんごめん〜。そこに荒船くん居たから渡しちゃった。」

てへっと舌を出して反省する気もない柚宇さん。
睨みを利かしている私。

軽く冷戦状態になっていた。割と困ってるし、副作用(サイドエフェクト)のせいでストレス溜まる。

「まあまあ、荒船くんにお近づきになれたんだからいいでしょ？」

「いや良くないですし、全然荒船さんのことそういう目では見てませんから。」

まーた柚宇さんはそう言ってからかってきた。まあ、いつもの事だからもはや気にするまでもないけど。

「最初のころは可愛かったのになぁ。今は恥じらいも何もないんだから〜。」

「可愛くなくていいですよ。」

「またまたー。」

荒船side

「でねー？あの子がねー？」

「国近いつまで惚気話してるつもりなんだ。」

国近はニヤニヤして俺を見ていた。成果は出たか？と聞きたいんだろう。

「まあ、大丈夫じゃねえの？」

まあいつもみたいには少なくともピリピリしていないからよかったには良かったんだろう。

「アイツは別に俺の彼女ってわけじゃねーよ。いつも言ってるんだが．．．」

吐息が漏れるほどに呆れ果てていたのだった。国近は口を開く度に、Aとの関係について聞いてくるのだ。

「いや〜。いいコンビだと思うよ？私はー。」

「乙女ゲームでもないんだからやめてくれ。」

「またまた〜。」

Aside

「よう。涼風。」

「なんですか。迅さん。」

最近迅さんの遭遇率が高いような気がしている。太刀川さん絡みなら分かるが私単品で遭遇するのはかなりレアな気がする。まあそういう日もあるか。きのせい、きのせい。

「最近よく会うなー。」

きのせいじゃなかったみたい。さっきまでの回想はなんだったんか。と、ツッコミを1人で脳内で入れていた。

「それで．．．なんのようですか？」

「そうそう。次の入隊式あるじゃん。」

あー。迅さんの後輩が入ってくる入隊式があるということか。大体の内容はわかってしまった。

「うちの後輩達が活躍するから見に来てよー。」

「その日防衛任務あるので無理ですね。」

その時、スマホのLINEから「防衛任務その日なくなった」という通知が来ていた。

「秒速フラグ回収で草。」

「まあ、そういう事でー。」

そう言って迅さんはいつの間にか居なくなっていた。