哀しみと歯車と帽子【文スト】

8.聞こえてますか？ ページ9

｢中原さん、中原さん？」

文字通り一通りのものを揃え、店から出てきた私は、待たせた儘の中原さんの元へ小走りに寄った。

後は帰るだけ、なのに………彼は何度呼んでも此方を向いてくれないのだ。


｢あの、大丈夫ですか〜？…ちゃんと聞こえてます…よね？」


全く何も返ってこないので、もう、全てにおいて不安に為ってきた。


｢中原幹部？」
｢ん？ 嗚呼、戻って来たか。…そんなに持ってよ… 前、全然見えねェだろ？ ……ったく…買い忘れは？」


やっと気付いたと思えば、第一声が其れかよ…？マヌケな感じがしてちょっと呆れた。


｢あ、大丈夫です。先確認しましたし」
｢ンじゃ帰るか」


そう歩き出したけど、暫く沈黙が続いた。


｢…あの、何か考え事でもしてたんですか？」
｢あ？」
｢なんていうか、ボーっとしてたっていうか」




この後、とんでもない発言が出た。




｢まぁ、そういうことだ。






…俺が昔好きだった娘(ヤツ)を思い出してた」








…………えっ…？






＊＊＊

次に続きます。詳しい話は次。


《どうでもいい裏設定》

Aは樋口さんと仲良しになったみたいで、この後もちょいちょい名前が出てきます。

中也さんと紅葉姐さん的な感じでしょうか。


Kotoha

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