Episode37 ページ38
大野が家族と話すと決心してから1週間が経ってしまった。
決心したものの踏ん切りがつかないのと、留学のための荷造りに追われているからだった。
そして日曜日。
大野と櫻井はこじんまりとした家の前に立っていた。
「智くん、大丈夫?」
大野が見つめる先には、自分の名が黒く塗り潰された表札があった。
「ん…、平気……」
俯く大野の背中に手を回しながら、櫻井はインターホンを鳴らした。
『はい……』
インターホンから聞こえた声に肩を震わせた大野。櫻井はトントンと背中を叩いて落ち着かせ、口を開いた。
「ご無沙汰しております、櫻井です」
『翔くん…?』
「はい。お久しぶりです。今日は少しお話があって……」
『少し待ってて?』
ぷつりと切れた接続。カチャリと鍵を開ける音がして、静かにドアが開いた。
大野は俯きながら櫻井の背に隠れた。
「久しぶりね、翔くん……」
「お久しぶりです。今日は……智くん」
櫻井が右に体を背けると、大野が露になった。
母親は息を飲み、立ち尽くす。
「黙っていてすいません。今日は智くんの話を聞いてもらいたくて……」
「…………分かったわ。入ってください」
櫻井は一礼して、大野の腕を掴んだ。
大野にとって忘れられない記憶が、脳裏に浮かんでくる。
リビングに通された二人は、勧められるままに椅子に座った。
湯気の立つ緑茶が前に置かれ、櫻井は一口お茶を飲んだ。
大野は手を付けなかった。
「どうして、またいきなり……」
櫻井の前に座り、開口一番そう言った。
「智くんが…、来週留学するんです。アメリカに。……大野さんは智くんに昔、何があったのかご存知ですか…?」
「いきなり…何が言いたいの…?」
「大野さんは誤解されてます。僕は智くんに後悔無く留学して欲しいんです」
まっすぐ、大野の母親の目を見て言った。
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ケイ(プロフ) - 長年の親との誤解が解けてよかったです 翔さんのおかげですね 智くんよかった^^ これからも応援してます^^ (2013年12月22日 0時) (レス) id: 1e38686879 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - 匿名さん» 遅くなりました。 山の空気感は私が大切にしていることの1つなので、その空気感に気づいてくださり、本当に嬉しいです!これからもゆるりとお付き合いください! (2013年11月16日 21時) (レス) id: 66d9ffabb2 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - 智☆まーさん» 遅くなってしまいましたが、コメントありがとうございます!女の子のような歌姫を目指してますので、ゆるりとお付き合いください! (2013年11月16日 21時) (レス) id: 66d9ffabb2 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(プロフ) - はじめまして、きのこと申します。青様担です!こちらの青様かわいぃ〜(●´mn`)大好きです!頑張ってください。応援してま〜す(・∀・)ノ (2013年11月13日 23時) (携帯から) (レス) id: d25666828f (このIDを非表示/違反報告)
蒼い茜(プロフ) - さとっさん、かわえぇわぁ。。。 楽しみに、読ませてもらいます。 (2013年11月5日 20時) (レス) id: e43d387a56 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はな | 作成日時:2013年10月5日 18時