時 既に遅し ページ28
分厚いドアがバタンと閉まる音がする。
今日は、というかここ最近、本当に力が入らない。
「うん、赤間くん、Aくん…お疲れ様でした。やはり君たちに任せて正解でしたね。」
ついさっきまでいた本部長室で本部長大天使様にありがたいお言葉を頂いても、ちっとも私の心は晴れないわけで。
tn「Aさん…大丈夫か？最近調子悪いみたいやけど…」
心配してくれる赤間先輩。
ほんと大天使かて…トントンさん！
なんて、心の中で調子こいてみるも虚しくなるだけ。
『大丈夫です。失礼します。』
遠くに視線を感じて素早く歩き出す。
tn「…そか、」
という赤間先輩の寂しそうな声が聞こえて、余計私は虚しくなる。
人を無視するって、結構きつい。
ましてや、良くしてもらっている人に対してなんて、以ての外。
無視して、傷つけて、…ほんと最低。
だけど、ひとつ言い訳をするならば、させて頂くとするのならば……
(仕方がなかった……から。)
赤間先輩を守るには、こうするしか無かった、なんて言い訳だろうか。
ふとスマホを見ると友人からの着信が。
トントンさん、今日の動画で大活躍やったよ？
……見んの？
『見れるわけ、ないやん。』
自分が傷つけている人を積極的に見れるほど私のメンタルは強くないっす。
思わず、ため息をつく。
ふと自分の顔が鏡に映った時、愕然とした。
(死んだ魚みたい)
トントンさんを取られただけでこんなになってしまう自分に驚くと同時に、これではダメだと鼓舞する自分がいた。
笑わなきゃ。
そう思い、また歩調を早めた。
その時私は、喫煙所に行く前にデスクに戻ろうとした。
…それが、間違いやった。
デスクには、小さい紙袋に包まれて、手紙が添えられたものが置いてあった。
この前の、豚のやつ。
可愛ええのあったから、あげる。
几帳面な字で書かれた手紙。
紙袋をそっと開けると、可愛らしい豚のストラップ。
先にタバコを吸えばよかった。
そしたらもっと落ち着いていられたかもしれないのに。
でも、もう、どうしようもないのだ。
だって、こんな風に優しくされたら、誰だって…
ーーー好きになってしまうじゃないか。
できれば最後まで自覚したくなかったその感情は、私の中で渦巻いて、私を飲み込んでしまいそうで、私はどうしようもなくて。
私はただただ…ストラップを握りしめていたのだった。
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文月(プロフ) - nanashiさん» こちらこそ、ありがとうございました！素敵と言ってくださって本当に嬉しい限りです。これからも精進して参ります！！ (2019年8月26日 20時) (
レス) id: c5e4d02de3 (このIDを非表示/違反報告)
nanashi - はあぁ神…ドキドキしながらも、とても楽しんで読めました！素敵な作品をありがとうございました！ (2019年8月26日 20時) (レス) id: 4b0cf5f6ca (このIDを非表示/違反報告)
文月(プロフ) - 珊瑚珠さん» キャー！珊瑚礁様だー！！もうこれから全面にファンということを押し出していくんで！はい！！見てくださってありがとうございました！！ (2019年8月26日 19時) (レス) id: c5e4d02de3 (このIDを非表示/違反報告)
文月(プロフ) - かなぐ＄anさん» 無理とは(哲学)w応援ありがとうございました！！ (2019年8月26日 19時) (レス) id: c5e4d02de3 (このIDを非表示/違反報告)
文月(プロフ) - みるくさん» ありがとうございます！！応援してくれるというお言葉、本当に励みになりました！！ (2019年8月26日 19時) (レス) id: c5e4d02de3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：文月 | 作成日時：2019年1月22日 23時
