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2話 ページ3

首領から指示された場所は前の現場からそう離れていない場所だった。
其のせいか、此処に来る迄にも何人か組織の奴らを見かけた。

「そろそろだな。」

其々の位置に付いている芥川や黒蜥蜴に視線を交わすだけの合図を出す。

今回の標的であろう組織が今日何者かと取引をする。
しかも態々ボスがお出ましでだ。
怪しすぎんだろ。

俺達は取引の前にソイツらを捕らえてから、例の異能力者を捕らえる。

取引迄あと10分
そろそろ動く頃合いだ、と中に乗り込もうとした時_

「お姉ちゃん、行ってらっしゃい!」

「うん。直ぐに終わるからね。」

背後から声が聞こえた。
振り返ると、女と小僧が手を振り合っている。

おいおい、一般人じゃねぇか。
タイミング最悪だ。

女は俺の横を通り過ぎて、中に入ろうとする。

「おい、待て。」

これ以上はマズイと考え、女を引き止める。

「はい?」

女が振り向く。
先刻迄の笑顔は何処へやら、冷たい瞳を俺に向ける。

「此処は手前みてぇな一般人が来るような場所じゃねぇ。さっさとソイツを連れて帰りな。」

そう云って、小僧の方を指さした時、

激しい音を立てて小僧の直ぐ横のトタンの壁を何かが突き抜けた。
其の儘小僧が中に連れ込まれる。

「優弥っ!」

女は絶叫して、入り口の方に走っていく。

「おい、待て!」

「芥川、黒蜥蜴!お前らは其処で待機しとけ!」

俺は指示を出して女を追った。
あれは間違いなく異能だ。
其れに丸腰で突っ込むなんて莫迦過ぎんだろ。

入り口に回り、中を見ると
標的だった組織のボスから触手みたいなものが生えている。其の先端には先刻連れ込まれた小僧が縛られている。
女はボスの前に立ち、叫んでいた。

「其の子を離して!優弥は関係ない!」

「関係なくはないだろう?此奴が手に入ればお前の異能など怖くはない。」

「さあ、此奴の無事を望むなら、さっさとお前の持つ欠片を渡せ。妙な動きをすれば此奴の命はないぞ。」

「っ…卑怯者!」

女が目に涙を溜めながら良い放つ。
どちらも目の前の奴に夢中で俺には気付いていないようだった。

其れにしても、先刻から此奴等の云っている事が理解出来ねぇ。
女はあのボスと知り合いみてぇだし、
異能を持ってるっつうし。

大体、取引の時間は疾っくに過ぎてるっていうのに、例の異能力者は来もしねぇ。
どうなってんだ?

そこ迄考えてやっと分かった。

成る程、そう云う事か。

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 中原中也 , 文スト   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:睡蓮 | 作成日時:2018年6月24日 16時

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