【d!】転校したら最強の生徒会を倒さなきゃいけなくなった件 (ページ40)

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第38話　狂人の矜持◆sha視点ページ40

sha「お…おま…記憶戻ったん！？」
「いや…ごめん、戻ってはない」

えっ、やば。
俺、完全に余計なこと言うてもうたやん。
あれ、でも記憶失ってること知らんかったら、“戻ってはない”って答えへんか…？

「記憶失ってることは知ってたよ、お医者さんから聞いて。でも、敢えて取り戻さないことにしたんだ」
sha「そう、なんや…」
「だって俺、脳みそ溶かされたのにこんなに元気なんだもん！お前が俺にガチギレしたら、死ぬまで全身溶かしに来るはずでしょ？なのに綺麗に記憶だけないからさ…そういう意味でも俺、シャオロンのこと信頼してるんだよ」

思わず目を見開いた。
それは、俺が今までの間で、最も欲しがっていた言葉のように思えた。

「ただ、イカれたことするなぁとは思ったけどな！普通友だちの脳みそ溶かすとか、なかなか実行できないって」
sha「お、俺だってやりたくてやった訳ちゃうぞ！？」
「まぁ…そこで実行出来るから、お前は狂人なんだろうね。狂人だからこそ、お前はそこまで踏み込んでくれた。俺は、そんなお前に感謝してるよ…ありがとう、シャオロン」

…なんやねんな…
俺のこと泣かすために来たんか、コイツ…

sha「…っ、ほんまにもう…！」
「えっ！？ちょ、シャオロン泣いてんの！？」
sha「泣いてへん！！これは心の汗や！！」

ぼろぼろと、容赦なく溢れ続けるあつい汗。
あかん…鼻水まで垂れてきた。
なんで俺、中間試練終わった後にこんな顔中から汁垂らしてんねん…！
…ま、悪い気はせえへんけど。

「っはは、なんで強がるのさ！男のプライドか？」
sha「ちゃうわ…狂人の矜持や！」

◆

夕暮れと夜の境目を、セイマと帰る。
こんな日がまた来るとは思てへんかった。

「学校前に綺麗な子が立ってたから、何事かと思ったら俺に用があるって言われて驚いたよ」
sha「そこでAちゃんに会ったんか」

なんとAちゃんは、試練5日前から毎日セイマに会いに行き、俺との話を聞いていたらしい。

「なんならその後、俺の家まで来て話してさ。ケーキ食べて帰ってった」
sha「は！？ええなぁ～俺も食べたい」
「今度、遊びに来る？」
sha「えっ……いいの！？ほんまに！？」
「いいよ。もういつでも会えるんだから」

…いつでも、会えるんか。
そうやな…
もう、会ってええんや。

「…Aさんに、感謝しなきゃね」
sha「…せやな」

明日、学校で会ったらお礼言おかな。