【d!】転校したら最強の生徒会を倒さなきゃいけなくなった件 (ページ36)

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第34話　Judgement◆第3者視点ページ36

この異能の特異な点は、自身に返ってくるのが1度きりではなく、49日間繰り返し続けること。
死ぬ程に身を焼かれても一向に死ねず、消火された時刻に火が自然と止んでは、それを毎日繰り返す。
この49日間を止めることはセイマ自身にも不可能で、セイマは毎日、決まった時間に父親と同じ苦しみを味わうことになった。

当然、そんな日々をまともに生きていられるはずもなく。

「ごめんなさい父さん…許してください…お願いします…もう、許して…」

父への懺悔の言葉を機械のように呟き、屋上のフェンスに手を掛けて乗り越えるセイマ。
自決未遂までも繰り返すようになった彼を、シャオロンはもう見ていられなくなった。

sha「…お前、そんなに死にたいんか」
「ごめんなさい…ごめんなさいごめんなさい…父さん…許してください…」
sha「…だったら、俺が殺したろか」

いっそのこと、そうした方が楽になれるんじゃないかと、彼の胸に手を当てるため立ち上がったシャオロン。
しかし、手を近づけたところまでで、自身の目から溢れ出てくる涙に止められてしまう。

sha「…そんなこと、出来る訳ないんよな…っ」

彼はまだ、セイマと共にやり残したことがいくつもあった。
部活の大会で優勝だとか、甲子園出場だとか。
まだ彼の家に遊びに行けてすらない。
生徒会のメンバーに混ざってゲーム大会をしようとも誘ったし、警官になる夢を叶えたセイマの姿を見に行ってやりたいとも考えていた。

殺したくはない。それでも、彼を楽にしたかった。

そこでシャオロンは、ある考えに行き着いた。
それは、彼の異能力の依存部位である脳を溶かし、罪悪感の呪縛ごと解かすこと。
溶かした後にすぐにしんぺい神に治療してもらえれば、死ぬこともないと考えたのだった。

sha「…セイマ。俺、腹痛くなって来てもうたわ…保健室、ついてきてくれへん？」

シャオロンは、保健室の近くまで来ると、未だ父への懺悔を止めないセイマの額に、人差し指で触れた。

「俺が悪かったよ…父さん…ごめん…父さん…」
sha「…そんなに罪人面したいなら、俺が罰してやる…だからもう、自分を許したってや」

とぷん…と、こもった水音。

《狂人の矜持》によって、シャオロンはセイマの脳を溶かし、見事罪悪感から解放することに成功した。
そのために、セイマは自身の罪悪感を抱く原因になった父の死の記憶をも無くし、しんぺい神による治療も迅速に行われたことで、事なきを得た。

かに、思われた。