第16話 危機的素直 ページ18
『っ！』
咄嗟に立ち退いて、彼から距離を取る。
sha「…その様子やと、俺の“話”聞いたんやな」
『そ、それは…』
sha「あれで有名になってもうたからなぁ…でも俺は、誰彼構わず脳みそ溶かすようなヤバい奴ちゃうで？ただ、Aちゃんが俺に対してちゃんと応えてくれんのやったら、溶かしちゃうかもね」
また、ゆっくりと額に人差し指を当てられる。
私の顔を覗くシャオロンは、えらく意地の悪そうな笑顔を浮かべていた。
sha「この際、本質じゃなくてもええよ。発動条件でも、制約や反動でも、依存部位でも構へん。どれも異能力の基本中の基本やから、知らへん訳ないよね？」
…本質は、どうしても変えられない、生まれつき決められた異能力の基本的な性質のことだ。
本質がシンプルであればあるほど使い方が広がるから、シンプルな異能力は当たりとされてる。
発動条件や制約・反動は名の通りだけど、本質自体が強力なものは自然とそこら辺が多くなる。
依存部位は、失われれば発動出来なくなってしまう身体の部位のこと。
勿論、全部言いたくない。
試練中にバレる可能性は全然あるけど、どうせバレるなら後の方が良いに決まってる。拳固先生の言う通り、対策されたくないし。
簡単にバラせるほど、私は自分にプライドが無い訳じゃないんだ。
脅しとか、恐怖とか、そんなもんは超越できる。私の異能力なら。
sha「…言わへんの？」
『…言わない…』
sha「…ふーん」
そう言うと、彼はすっと額から指を離した。
緊張感が一気に解け、思わず息をつく。
sha「皆は溶かされるの恐れてすぐ教えてくれたのに…言わへんってことは、溶かされてもどうにかなるような能力ってことやんな？」
『！』
sha「ははっ、わかりやす！Aちゃんって素直なんやね」
シャオロンは、未だ落ちていた弁当箱を拾い上げてサッとご飯を掻き込むと、スクールバッグにしまって肩に掛けた。
sha「そんじゃ2週間後、お互い頑張ろな！」
そう言うと、彼はそのまま教室を去っていった。
『……つ、疲れた…』
やっぱり、簡単な相手じゃなさそうだ。
本気出さないと、こりゃやられるな。
『あっ…山吹君の机どうしよ！？私の能力じゃ机の状態まではなぁ…！』
…しょうがない、シャオロンの言ってた修理能力のある先生を探そう…
sha「机の状態まで…か。ほんま
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作者名：蜜川 | 作成日時：2022年11月12日 20時
