惚れるわけないから。【snr】

よん ページ5

Aside






何言ってんの、この人。
私を惚れさせようとしてるわけ？







『惚れてなんてやりませんから』
「ふーん、ホンマですか？」






背の高い先輩は私の横の壁に手を置いたまま見下ろしている。






『女たらしに惚れるとでも思いました？そこら辺の女と一緒にしないで下さい』





イケメンがいれば簡単に惚れるなんてみっともないにも程がある。
なんて可笑しなプライドのある私を、先輩はﾌｯと不敵な笑みを溢して言った。








「じゃあ俺が、惚れさせてやります」






先輩の言葉の意味がよく分からず首をかしげる私を他所に、先輩は私から離れていった。
「俺のこと好きって言わせてみせますから」と決め台詞を吐いて。





私に背を向けて小さくなっていく後ろ姿を見て、何故か顔が熱くなった。




スラリとした長い手足
整った顔立ち
サラサラの髪
キラキラした瞳
少し訛りのある綺麗な美しい声



確かに誰が見ても分かるイケメンだった。




そんな先輩と至近距離にいたなんて、今思えば恥ずかしい。
胸の鼓動が正常に戻るように、深く深呼吸をした。

ご→←さん

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