惚れるわけないから。【snr】

にじゅうご ページ26

Aside




『あー……最悪』



せっかく先輩を見れる機会が来たのに誰のせいだ、見逃してしまった。先輩が出る種目とか知らないし、もう見れないか。
なんて、こんなこと言うと私が先輩を……好きみたいじゃん。





.

『あつ……』




私の出番が来てもう次というところ。
こんな昼間にやるべきものじゃないとつくづく感じる。


指示が出され、私はスタートラインに足を合わす。
私は400m走だ。皮肉な話、運動部でもないのにジャンケンで負けてしまったからだ。
でも走るのが苦手ではないわけで苦痛ではなかった。



そして ﾊﾟﾝというピストルの合図で私は走り出した。
一つ目二つ目とどんどんコーナーを過ぎ、もう最後のコーナーに差し掛かろうとした時だった。






『っ……やば』





突然のことだった。急激な頭痛が私を襲った。

トップだった私は二位とそこそこ差を開けていたはずだったが、どんどん足音が後ろから近付いてくる。


何とか必死でゴールに駆け込む。
と同時に、私の体が ﾌﾗｯと大きく傾いた。



その時既に私は夢の中だったのかもしれない。






「Aっ!?」



最後に誰かが私の体を支えるのを見て、私は意識を手放した。

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