２８８Q ページ3
蘭side
なーにが
『比べるのはもう、やめる』
だ。
涼太と同じようなこと言いやがって。幼馴染みで仲がいいこって。
勝手に比べて勝手にライバル心燃やして勝手に落ち込んでたカワイイ弟が成長したみたいで兄ちゃん嬉しいよ。
うっすらとかいた汗を桃井から受け取ったタオルで拭いながら監督から次の立ち回り等の指示を聞く。
それが終わり、ベンチに座って頭を下げていると前から影が落ちた。
「なにしてん」
「……なーんか、勝手に
「そんなんみたらわかるわ阿呆」
ハっ、とバカにするように笑う今吉に少しイラつく。
むっとしながら顔を上げれば予想通りニヤついている今吉の顔面があった。
「蘭、お前は天才や」
「知ってるけど？」
「青峰とまた違った、な」
それもわかってる、が、今それを言うのか？
何が言いたい、と口には出さなかったが俺の言いたいことを悟った今吉はさらに口角を上げ、口を開く。
「お前は器用すぎるんやろうなぁ。ええ感じに、バレん程度に手を抜くんが上手いんはこの長年付きおうてよぉわかったわ」
「……」
「せやから最後まで体力が残っとる、それでよかった試合はあった。
けど今回はちゃうくらいわかるやろ？」
「……るっせ」
「ふっ、"自分が出来ん事"が出来る弟に負けて悔しいんはわかるけどな、んな落ち込んで、ホンマらしないぞ」
「…ッハ、バカ言えよ。あんなん負けに入んねぇし、落ち込んでもねぇわ」
手に持っていたタオルを、回収しに来た桃井に渡して立ち上がる。
今吉の挑発じみた発言に乗かってしまったことは非常に遺憾だ。
悔しいだぁ？Aに抜かれた程度で？しかもアレは虚をつかれただけで…いや少し油断したから招いた結果か。
だからといって悔しいなんて、そんな想い俺がするなんて今吉の言う通り、らしくない。
けど
「……」
「蘭？」
ふと頭に過った記憶。
それは確か自分が小学四年生の時、会ったこともないような遠い親戚の葬式に出た時の記憶。
これまた喋ったこともないおばさんが俺たち兄弟の話で盛り上がり、ソレがきっかけでAが俺との差を気にするようになり、俺はそこから少しでも努力をするのはやめた。
もともと努力なんて続けられるような性格じゃなかったし、天才肌だったし、何よりも…。
「しっかりせぇ、もう始まるで」
「…あぁ」
らしくないことばかり考える頭を振り、試合が始まるコートへ足を進める。
それでもまだ早い。
弟が兄に勝つなんて、まだ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1659人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しゅる(プロフ) - い、今吉…😭😭😭お前やっぱ良いサトリ妖怪なんだなぁ😭😭でもね、蘭くんちゃんと弟守らないとどっかの帝王様に取られちゃうよ😊兄弟愛BIGLOVE🫶🏻 (4月11日 6時) (
レス) @page13 id: 9269892d89 (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - 美音さん» こちらこそ待って頂きありがとうございます！！どんどん仲良く……仲良く…？なってくれるのでしょうか笑((( これからも待たせちゃうと思うのですが気長にお待ちいただけたらと思います🥺 (4月3日 20時) (レス) id: 3d31480182 (このIDを非表示/違反報告)
美音(プロフ) - 更新ありがとうございます…！待ってました！！！めちゃめちゃうれしい💞💞長崎兄弟がこれからどんどん仲良くなっていく展開まってます💞これからも更新がんばってください！！ (3月7日 14時) (レス) id: 73850d3442 (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - もっちーさん» お待たせしましたァ…！愛されてる長崎兄弟…嬉しい…。そう大切な弟なんです…本人には伝えないんですけどね…笑 ノリに乗った時になりますが更新していきたいなと思ってます笑 (3月4日 0時) (レス) id: 3d31480182 (このIDを非表示/違反報告)
もっちー(プロフ) - 待ってました👏🏻👏🏻✨長崎兄弟好きだっ…！！！蘭くん弟が本当に大好きというか大切なんでしょうね…長崎兄弟尊いです…😭💕✨そして更新ありがとうございます！！！！！！！ (3月3日 13時) (レス) @page7 id: 28f73aa9c2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：こたきんぐ
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Kotakinnhu/
作成日時：2023年3月4日 23時
