五十二枚目 ページ6
Aside
ぞろぞろと見知った顔数人が私の元へ集まってきてしまった。
練習しろや、と言おうとしたが選手たちは休憩に入ったみたいでそんなこともう言えない。
すると緑間が体育館へ戻ってくる、その手には私が置いてきた一つのカゴが。
「あっ、緑間、ありがと」
「……お前は本当に変な奴だな」
「変な奴に変な奴って言われちゃった」
くい、っとメガネを上げなおし緑間は自分のドリンク容器を取ってタオルで顔を拭いている。
何だアイツ、ツンデレかよ、と思いつつ私は心配するのをやめないさつきちゃんを宥めるのに必死である。
「……山梨、何かあったのか?」
「あー、別に。私のことはどうでもいいから休んだら?」
「可愛くないやつだなぁお前」
「お前に可愛いと思われてもなんのメリットもねぇ」
「こいっつ!」
布団をつかみ引っ張ってくる青峰。
いて、いてて、だから背中痛いんだよやめろよ。
「青峰、やめてやるのだよ」
「緑間…お前いつもこーゆーのスルーするのに、今日は珍しいな」
「…赤司、来てくれ」
「ああ」
「俺のことは無視かよ!?」
緑間は赤司を連れて少し離れたところへ行く。…チクるのか緑間。
別にいいけど、とその場を立ちあがる。
「Aちゃん、えっと、背中痛いんだよね?ここでは見ることできないから…うーん、みどりんが言う通り保健室行こ」
「…さつきちゃんが、言うなら」
虹村さんに許可を取るため声をかけようとしたら、言う前に行ってこいと急かされた。
…まぁ、私がいなくても他のマネがやってくれる。心配しなくていいか。
さつきちゃんと二人、誰もいない校舎を歩く。
保健室に向かっているけれど、先生がいる確信はない。
「何があったのか、教えてくれないかな」
立ち止まって、さつきちゃんは私の布団を軽くつまんだ。
「Aちゃんがね、自分のことを話したがらないことはわかってるの、無理に聞こうと思ってないし。でもこういうのは教えてほしい。
…こんな言葉使いたくないけど、私達、友達でしょ?」
「さつきちゃん…」
そうだね、私の唯一の友達だ。
そんな友達にここまで言わせてしまったら、言うしかない。
余計に心配させることになっても。
「ちょっと、厄介な先輩たちに絡まれてね。押された時に強く壁に背中打っちゃって」
「…Aちゃんまで、そんな」
「…まで、って…。さつきちゃんもしかしてあれからも嫌がらせ受けてたの?」
あれから、というのは私達が初めて喋った日のことである。
さつきちゃんはグッと喉を鳴らして、黙ってしまった。
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こたきんぐ(プロフ) - 。さん» お返事遅くなりすみません!いいえ…完結ではありません…続きます…また近々ぼちぼちあげます(泣) ありがとうございます! (2022年11月7日 23時) (レス) id: 7882bc78cd (このIDを非表示/違反報告)
。 - 面白くてイッキ見しちゃいました!ちなみにこれは完結なんですか? (2022年10月30日 22時) (レス) @page36 id: 309377f64b (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - (名前)まいさん» ありがとうございます!ぼちぼちやってきます…!! (2021年8月28日 12時) (レス) id: 7882bc78cd (このIDを非表示/違反報告)
(名前)まい(プロフ) - 最高 (2021年8月14日 22時) (レス) id: ec16fd7069 (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - ぼた餅さん» ありがとうございます!お返事遅くなり申し訳ないです…。ほんと自分のペースになるんですが頑張らせていただきます! (2020年8月16日 17時) (レス) id: 7882bc78cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こたきんぐ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Kotakinnhu/
作成日時:2020年5月23日 20時