三十四枚 ページ36
Aside
「え、なんて？」
「だから、バスケ部のマネージャーなるんで、入部届け下さい」
次の日の朝早く、普通の生徒ならまだ来ていない時間、なんなら職員会議もまだ始まっていない時間に私は職員室に行き、担任の有井先生のもとへやってきた。
私が一度言ったことをすぐに理解せず、もう一度聞いてくるあたり、きっと私が意外なことを言ったから頭の整理が追い付いていないんだろう。
「まあいいからください」
「あ、ああ」
「ありがとうございまーす」
驚きながらも机の引き出しを開けて、入部届の紙を奥から引っ張り出し私に渡す。
気のせいか周りの先生たちも、有井先生のように驚いているように感じた。
職員室の引き戸を引いて、失礼しますときちんと言ってから職員室を出ると、その先には赤司君がいた。
「あぁ、山梨さん。丁度いい所に」
「なに赤司君」
そのまま通り過ぎるだけで終わると思っていたけど、彼はさわやかな笑みを浮かべ私に話しかけてきた。
「コーチに聞いたけど、マネージャーになるんだよね」
「…まあ。今から入部届書こうかと思ってる」
「そう。
また聞くと思うけれど、マネージャーにも三軍二軍一軍とあって、昇格テストなんてものはないけれど、最初は皆三軍のマネージャーから始まるんだ。すでに知っていたかい？」
「いや、知らない。…別に三軍とか二軍とかどうでもいいけど、やる気はあるんだよね、皆」
ふわりと布団を揺らし、そういうと赤司君は一拍置いてから口を開く。
「…そうだな、あると思うよ。みんな頑張ってる」
「…ふーん。ならいいよ、私頑張ってない人を支えるとか絶対嫌だし」
赤司君は、また一拍置いて意外だったよと言葉を零した。
私は少し顔を上げ、彼の声がよく聞こえるよう耳を傾ける。
「もっと君は自分以外の人間に興味がないのかと思っていた」
「よく言われる」
「…だから、君が桃井に誘われ見学に来た時失礼ながらどうせ興味なさそうに見てるんだろうと、思っていたんだ。…山梨さんは、その、布団被ってて変わってるしって…」
「なに、自分の世界で酔いつぶれてて他人に一切興味の無い人間だとでも思ってたの」
「…それは…思ってないよ」
赤司君はなんだろう、その笑顔でその言葉の間は信用できないよ。
正直なのか、嘘が得意なのかよくわからない。
彼はこれからよろしく、と言って職員室に入っていった。
綺麗な微笑みを浮かべて。
.
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こたきんぐ(プロフ) - 暁月さん» ありがとうございます！！(好き) 少々お待ちをっ！ (2020年5月22日 20時) (
レス) id: f2404a4c45 (このIDを非表示/違反報告)
暁月(プロフ) - 続編おめでとうございます！！（お前は早すぎんだよ） (2020年5月21日 22時) (レス) id: 1be42be6d7 (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - 暁月さん» ありがとうございます！そのお言葉嬉しい限りですうう！ほんとに更新遅いですが頑張ります！ (2020年5月13日 15時) (レス) id: f2404a4c45 (このIDを非表示/違反報告)
暁月(プロフ) - 応援してます！(短くてすみません()) (2020年5月13日 14時) (レス) id: d0b41bf1bc (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - 手越さん» リメイク前！？大昔から…！あの時は本当に…ちょっとお恥ずかしいｗありがとうございます！ぼちぼちですが頑張っていきます！ (2020年5月13日 14時) (レス) id: f2404a4c45 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こたきんぐ
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Kotakinnhu/
作成日時：2019年7月20日 12時
