219Q ページ31
Aside
「海だ!!」
監督の料理はあまり上達せず合宿の日々が始まった。
俺達が泊まるところは、お世辞にも高級感のあるところとは言えなくて、歴史がある所だった。
監督が言う練習メニューは、昼は海、夕方は体育館らしい。
浜辺には足元砂場のバスケットコートがあり、ここでバスケをするという。
しかもいつもの三倍。
「さあ、始めるわよ。合宿!」
そうして始まった砂浜でのバスケ。
やはり思ったように動けないし、ドリブルも出来ないからパスで組み立てるしかない。
もっと先を読んで動き出しを早くしないとうまくできない。
火神なんてダンクしか能がないからいつも通りジャンプも、砂浜に足を取られ、スカッとミスする。黒子もいつも通り体力が朽ちて、砂に埋もれていた。
その後の体育館練習では、いつもより動きやすく感じた。きっと感じただけで、朝よりも筋肉量が増えたわけじゃないだろうけど、そう感じた。
その日は死んだように眠った。雑魚寝で一年生は一年生で寝たんだけど、とにかく黒子以外みんな寝相が悪くって悪くって。
ふっと伸びをして起きれば、同時に火神も起きた。
「おはよう火神」
「…おう」
寝ぼけた顔をして、一度あくびをした火神は立ち上がった。
俺も立ち上がり、顔と歯を一緒に洗いに行く。
「体いてぇし、インドアスポーツでこんな黒いの俺らだけなんじゃねーの?」
「ほれはある」
シャカシャカと歯を磨き、ペっと口にある水分をはぎ出せば、二つしかない水音が三つあった。
驚いてその音が聞こえた方向を見れば、そこには黒子がいて。
「うおお毎度わざとかテメェっ」
「おはようございます」
「おはよう黒子、寝癖すごいね」
黒子の寝癖をくすと笑っていると、背後の廊下が騒がしいのに気づく。
鏡越しに覗けばそこには真くんと和ちゃんがいた。
「って、アレ?」
「どうも」
「なぜここにいるのだよっっ!?」
「こっちのセリフだよ!!」
目が合えば喧嘩腰。
どうどうと宥めていると、なにやってんのと返り血を浴びたような監督がやってきた。
「長崎!お前の学校はなんなのだよ!!」
「ええ!?せ、誠凛高校」
「そーゆーこっちゃないのだよ!」
「あれっ!?秀徳さん!?てかこれケチャップよっ」
監督に動揺してしまって変な返事を返してしまった。
ケチャップ拭いてください、と目頭を抑える。
少し眠かった頭が完全に冷めた瞬間だった。
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こたきんぐ(プロフ) - Lawさん» ありがとうございます!お待たせしました…、がんばりますっ (2020年5月24日 10時) (レス) id: f2404a4c45 (このIDを非表示/違反報告)
Law - とても面白いです!続きが気になります!頑張ってください! (2020年5月13日 0時) (レス) id: 6c5845ecc3 (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - れすれさん» ううありがとうございます……続編までしばしお待ちください…!!頑張ります!!! (2020年3月11日 9時) (レス) id: 4d87c6d951 (このIDを非表示/違反報告)
れすれ(プロフ) - とても面白いです!!もう何回も読み直してます!応援してます。頑張ってください!!!! (2020年2月24日 9時) (レス) id: de6337fd23 (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - アオさん» ありがとうございます!出来るといいな…。手作りいいですねぇ、私も手作り食べたいです!多めに買うのあるあるですねw続編は少々お待ちをっ! (2020年2月15日 12時) (レス) id: 4d87c6d951 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こたきんぐ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Kotakinnhu/
作成日時:2018年11月2日 20時