１７０億 ページ31
Aside
かしゅっ、と音をさせて缶コーヒーを開け口に含む。
食後のコーヒーというものはやっぱりいい、仕事終わりのあとのカフェオレの方が勝つけど。
ふぅ、と一息ついて夜空を見上げているとどこからか聞こえた銃声。
……銃声？
「いや嘘だぁ」
ここは日本だ、多分どっかのヤンキーが爆竹投げただけだろう。
なにか大きなものを落としたとか。
最近仕事多すぎて銃声に聞こえるだけだよ私ったらもう。
たはは、とどこか遠くを見つめながらその音が聞こえた方へ向かう。
いや別に、ワーカホリックとかじゃないから。ちょっとふらっとあちら側へ散歩にでもってね。
缶コーヒーを片手に、私は慎重にその場所へ。
コソコソせずに堂々と。
もしものために偶然その道を通った一般人を装うために。
もしもってなんだ。
一人で自問自答していると、背中になにか硬いものが当たった。
そして感触とともに、カチャリとなる金属音。
もしものことを考えるのって、大切だよねええぇ。
「…ひっ」
「動かないでください、動いたらどうなるか、分かりますね」
一般人を装い、咄嗟に小さく悲鳴をあげる私。
後ろから聞こえた声はどこか聞いたことがあり、でも聞き方を変えれば全然違う声で。
「そのまま前へ」
「…っうぅ」
私がいた場所はもう人影はなく、真っ暗で薄気味悪くて、悪いことするのにはちょうどいい場所で。
きっと私が突きつけられているものは、銃だろう。
いくら私でも死ぬ。
ああ、コンビニ寄らなかったらよかった。せっかくの休みなのに、好奇心に負けるからこんなことに。
後悔はどんどん出てくるし、軽く泣けてくる。
あーやだやだ、なんで日本人が銃持ってんの、犯罪だよこれ。
そのまま後ろ向いて相手を蹴っ飛ばしてもいい、でも相手の力量がわからない今、失敗すれば死が待っている。
「あなたはどうしてここに来たんですか？」
「…っさ、さんぽ、して、て」
「…何か、見ましたか？」
「っ？な、なにも…みてないですっ」
口に手を当て怯えながら、名演技を繰り出す。
私女優なれるってこれ。工藤有希子になれるってこれ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 4126人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さち - おもしろくて続きが気になります。よろしくお願いします。 (2019年4月6日 16時) (
レス) id: a3a6f8d111 (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - はなさん» はじめまして！ありがとうございます(/ω＼)私生活に落ち着きがもう少しでできるので、がんばって、更新します！ (2019年3月15日 12時) (レス) id: 4d87c6d951 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - はじめまして！一気に全部読んでしまいました！とてもドストライクなお話で素敵すぎて大好きです！！更新とても大変なことだとは思いますがこれからも応援しています♪ (2019年3月15日 12時) (レス) id: 43ab538aea (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - れさん» ありがとうございますっ！近いうちに更新させていただきます！頑張ります！ (2019年2月12日 20時) (レス) id: 4d87c6d951 (このIDを非表示/違反報告)
れ - 全部一気にみちゃいましたら！凄いおもしろいです！待ってます、つぎの更新！ (2019年1月20日 19時) (レス) id: de813ae323 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：こたきんぐ
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Kotakinnhu/
作成日時：2018年9月8日 14時
