ゼロから始める関係性がいい。【安室透】

９から ページ11

Aside


なかなか帰ってこないし、トイレの水が流れる音しないし、なんかいろいろ心配だったので私はコナンくんの様子を見るためにトイレに向かった。

しかしトイレには誰にも入っていなくて、不思議に思っていると、代わりに自分の寝室が開いていることに気づいた。




「コナンくん？」

「うわぁっ！」




コナンくんは驚いて肩を揺らし、その驚きようは尋常でなかった。

いやん、レディの部屋へ勝手に忍び込むなんて趣味が悪いぞん。




「どーしたの、コナンくん。勝手に私の寝室なんか入って…とんだおませさんね。はは」

「ご、ごめんなさぁい」




コナンくんは頬をかきながら、笑って謝ってくる。

そういやコナンくん、なにか取ろうと手を伸ばしてたっけ。


…あ。




「これ、気になったの？」

「っ！？」




わざと伏せておいた写真立てを手に取り、コナンくんに渡す。

別に見られてダメなものじゃないし。




「…A、さん、これ…」

「へへ、これ私と兄とその友達」




兄との写真は何故かこれしか無くて…いやあるにはあるんだけど、どれもどっちか変顔してる。

けどこれだけは、この兄と友人と私が写っている写真だけは、うまく写っている。




「…この、ロン毛の、ニット帽の人って…」

「あー、違う違うこれは兄の友達ね。そんな会ったことないんだけど…、どしたの？」

「いや、なんにもないよ」




そんなコナンくんを見て、私は思わず首を傾げる。

やだなあ、そんなシリアスな顔しちゃって。ほんと君小学一年生か。




「Aさんのお兄さんは今どこにいるの？」

「んー、そうだねぇ。もう、会えない所、かな」

「…え」




会えない所、なんて、上手くオブラートに包めただろうか。

コナンくんは大人びてはいるけど、仮に小学一年生の子供だ。


そんな子供に私の兄は死にました、なんて素直に言えるほど私は強くない。

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