*ﾟ*金魚花火20*ﾟ* (ページ16)

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【５６０】side N ページ16

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雅紀が戻って来た、と彼女は言った。

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A「和也にとって、大事な同胞よ」

和也「同胞…」

A「うん…きっと、今なら分かり合える。

だから一回、会ってみて。誰か分かんなくても……会ってみて、ほしい」

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この子は誰だったっけな。ああ、そうだ……毎日、俺に会いに来てくれる子だ。

ニコ、と彼女は笑った。明るい笑顔

昔、見たことがあるような気がする。昔、もっと近くでこの笑顔を見ていたような気がする。

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A「私が大好きな５人が、揃ったの」

和也「君は、本当に……その人たちのことが、好きなんだね」

A「……うん、好き！(笑)」

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切なそうに、でも嬉しそうに彼女は言った。その直後

部屋の中に、一人の男性が入って来た。智さん、と彼女が呟く。

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智「もう、ここには来るな」

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彼の声は無感情で。彼女に対するお前の態度とは思えないな。なんだよ、この豹変ぶり。

……って、どうして俺は思うんだろう。

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A「え……？」

智「ごめんね、気が変わったんだ」

A「っ…さと、しさ…」

智「もしこれからもAちゃんがここに通い続けるというのであれば

俺は、和也への治療行為の全てを放棄する」

A「そんな！どうして……だって、傍にいてもいいって…」

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彼女は、声を詰まらせてしまった。泣きそうな気配が伝わってきたら、その途端に

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和也「おい」

智「何」

和也「こいつを泣かせるな」

智「こいつ？彼女の名前すら思い出せないくせに」

和也「でも、泣かせていいのは俺だけだから。それは知ってるよ」

智「そう。だけどそのルール、変えるよ？」

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ぞっとした。寒気に見舞われる。

―――ずっと、戦いたくないなって思ってた男がいた。そいつと真正面から対峙したら、俺は敵わないって

思ってたよ。お前が、怖いって……俺は思ってたよ。

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和也「智……？」

智「……真っ先に分かるようになったのが俺だなんてね。光栄だと喜べばいい？」

和也「っ…」

智「あげないよ、和也」

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俺の目の前で、智は彼女を抱き寄せた。

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智「Aはあげない。もう会わせない」

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