*ﾟ*金魚花火20*ﾟ* (ページ12)

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【５５６】ページ12

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語り終えた雅紀は、苦しげな呼吸の中で

「気が抜けるよね」と笑った。

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雅紀「極秘任務、それも命を懸けた任務だって……そう言われてたのにさ

蓋を開けてみれば、なんだそんなこと。って感じで」

翔「………」

雅紀「だけどね、すごく……〝らしいな”って思っちゃったんだよね。

金龍が、本当に命をもって任務に当たらせ、和哉さんに罪を償わせようとしていたんだろうかとか

和哉さんが、残される者のことを何も思わずに去っていったんだろうかとか

冷酷なこの世界でならあり得る話だとは思いながら、どこかで俺は失望してたのかもしれない。

でも、違ったんだ。違ったんだよ」

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ごふ、と。その口からは血が零れるのに。まだ雅紀は喋ることをやめない。

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雅紀「もし、そこにあるのが冷たいだけの真実ならば、俺は壊すつもりでいたんだ。

この組を、龍村組を、本気で潰すつもりで、ここを出ていった。

だけどもし、愛なんてものが幻想でなく、隠れていたんだとしたら、俺は―――」

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ぎゅっと。翔ちゃんが、雅紀を抱いた。

力強く、離すまいとするように。そんな２人の様子を見て、潤くんが宙を仰ぐ。

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雅紀「……どうしようもなく信じてみたくなって

龍村のことが、愛しくて仕方がなくなってしまったんだ。

俺を想ってくれる周囲を信じてみたくなって、この場所を守りたいって

どうしようもなく皆を愛してしまっていて、もう自分に嘘をつけなくなってしまった」

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がくん、と。雅紀の体から力が抜ける。意識を失ったその瞬間に

「潤！」と、翔ちゃんが叫んだ。

翔ちゃんに命じられるより早く、潤くんは駆け出していて

私はへなへなとその場に座り込みながら、少し震えてた。

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翔「よく、戻った」

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翔ちゃんがそう呟くのが聞こえて、ああ、これは夢じゃないのだと

元通りとはいかないし、ベストな状態というわけでもない。

けれど、今、確かにこの瞬間、この屋敷に５人が揃った。

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かつて、志摩子さんと和哉さんのいなくなった後に滅亡の危機を迎えた龍村を

そこから再興させた５人が、再び揃った。

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