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54話 ページ14

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そちらに視線をやれば、酷く真剣でどこか辛そうな表情の降谷くんと目が合った


「すみません、驚きすぎて脳が追い付けなくて。
…でも…でも、ちゃんと最後まで話を聞かせてください。お願いします」


『でも、楽しい話でもないし、』


「僕が聞きたいんです

もしAさんが過去の事で悩み苦しんでいるのなら全部聞き出して、全ての憂いを取り払ってあげたいと僕はいつも思っています

でも、何も知らなければAさんが求める言葉を僕は貴方に掛けてあげられない

…だから、…だから、Aさんの事全部知りたいんです」



教えて下さい、と降谷くんは肩を掴んだまま頭を下げた



彼の腕が震えているのが掴まれた肩から伝わってくる


いつもの彼ならありえない痛みを感じるほどの力で掴まれた肩は、僕が全て話すまでずっとこのままなんだろう




ため息をひとつついて僕は再度口を開いた





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長官と手を組んでからしばらくたった頃、僕はとうとう警察庁警視総監という地位にまで上り詰めた



組織を壊滅させる為には少なからず権力が必要だったし、好都合だと思ったよ



そこで降谷くん、君たちに出会うまではね



あれは僕が警察学校に特別指導教官として出向いた時のことだったよね

今でも覚えているよ


降谷くんや諸伏くん、それに萩原くんと松田くんと伊達くん


苦しく厳しい訓練の中で君たち5人組は警察官になるためにひたむきに努力を重ね、切磋琢磨し合いながらがむしゃらに目の前の課題に食い付いていた


僕はそれを見た時に何故か無性に君たちのことが眩しく見えたんだ


正直、長官には悪いけどその頃僕は全てが終わった後に警察のままでいるつもりはなかったんだ


酷いよね、堂々と約束を破ろうとしてたんだ、僕は。



でも、君たちのその姿を目にして僕は警察続けるのも悪くないのかなって思ったんだ



君たちに「どうして警官になりたいの?」と僕が聞いた時、帰ってきた返事は「困っている人を助けたいからです!」だった


模範解答みたいなその答えに思わず僕は笑ってしまったけれど、『あぁ、いいなぁ』って心の奥底では思ったんだ


それからまたしばらくして降谷くんと諸伏くんは公安の僕の元にやってきた


残念ながら諸伏くんは途中退場しちゃったけど、降谷くんは長期任務につく前もずーっと僕のことを慕ってくれたよね

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若宮真琴 - 好きです!大好きです!面白いです!頑張ってください!めっちゃめっちゃ応援してます!!!!更新頑張ってください! (2020年6月25日 12時) (レス) id: f98349de18 (このIDを非表示/違反報告)
pico(プロフ) - 椎名桃乃さん» うおぉ、こんな更新停滞魔にありがとうございますっ!!頑張ります! (2019年5月25日 11時) (レス) id: 9523295b39 (このIDを非表示/違反報告)
椎名桃乃 - とっても面白いです…!夢主くんが可愛すぎて辛いですwこれからどんな展開になっていくか楽しみです!応援してます、頑張ってください! (2019年5月23日 16時) (レス) id: 87ecca1cfc (このIDを非表示/違反報告)
pico(プロフ) - マリーさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!!気長にお待ちいただけると幸いです! (2019年5月11日 12時) (レス) id: 9523295b39 (このIDを非表示/違反報告)
pico(プロフ) - シンアさん» ありがとうございます!!最近更新が停滞してしまっていて申し訳ないのですが、これからもちまちま更新していくのでよろしくお願いします!! (2019年5月11日 12時) (レス) id: 9523295b39 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:pico | 作成日時:2019年1月2日 20時

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