39話 ページ39
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「……なんで夏は暑いんだろう」
『太陽の光が地面に当たる角度が高くて、日照時間も長くなるからだね』
「わかってるよ。真面目に答えなくていいから」
『それはごめん』
ジトリと横を睨めば、若葉は肩を竦めて手元の本に目を落とした。
何を読んでいるのだろうと目を凝らしてみれば江戸川乱歩という文字が見えてそっと逸らした。
意外と読書家らしい。
『そろそろ成績表返ってくるね』
「若葉は何の心配もいらないでしょ」
『日本史が苦手だからそれが心配、かな』
「江戸川乱歩とか読んでるのに？」
『これは小説だからね』
よくわからないが、日本史が苦手なら取らなければ良かったのにと孤爪は思った。
と、机の上に置いてあった若葉のスマホがブルブル、と震えた。
パタンと本を閉じた若葉はスマホを手に取った瞬間、半目になる。
無言で席を立ち、教室から出ていく様子を不思議に思いながら見送った。
人通りの少ない廊下まで早足で移動した若葉は、画面をタップして耳に当てる。
「ヤッホー！！若葉ちゃん、元気ぃ！？アタシだよ、アタシ！！」
『アタシ詐欺なら切るよ』
「違うわよ、近状報告。今アタシ、アメリカにいるの。グランド・キャニオンを見にね！！で、次はカンボジアに行くわ！！アンコール・ワットを見に行くから、しばらく家のことよろしく！！」
『めちゃくちゃ書類届いてんだけど。アンタの仕事用ケータイにも凄いかかってくるし』
「あぁ、展覧会のことについてかしら。でも思い立ったら吉日って言うじゃない？今、見たかったのアタシは！！」
『そう、わかった。今学校だから切るね』
「オーケーオーケー！また連絡するわね！！」
耳からスマホを外し、だらんと腕を下ろした。
あぁ、いつ話してもこの人だけは苦手だ。
テンションの高さとリズムの良い会話。
電話の相手は父方の叔母だ。
若葉が兄から離れたい一心で県を出たいと言った時、母とは離婚した父の元へ行こうと思っていた。
けれど、父は仕事で忙しくて世話をしてやれないということで断られた。
そんな時、画家である叔母が、ほとんど家で作業してるから住めば？と提案してくれたおかげで若葉は東京に来ることができた。
だがしかし、叔母は絵の資料を探しに海外へ飛んだりして家を空けることが多く、これならば父の方に住めばよかったと思う。叔母のことは苦手だし。
はあ、とため息を吐き、元来た道を戻って行った。
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早夜(プロフ) - LUNAさん» コメントありがとうございます！！楽しんでいただけて嬉しいです。今まさに公開致しました。パスワードなしでご覧いただけます。お待たせしてしまい申し訳ありません。ぜひ、続編も楽しんで読んでいただければ幸いです！！ (2月26日 23時) (
レス) id: f5ec9a9fb0 (このIDを非表示/違反報告)
LUNA - こんばんは!!初コメ失礼します!めちゃくちゃ楽しく読ませて頂きました!!続編も気になっているのですが数話公開されたらパスワードがなくても読むことが出来ますか？続編も気になるのでよろしくお願いします!! (2月26日 23時) (レス) id: b20802aba1 (このIDを非表示/違反報告)
早夜(プロフ) - アマアマハチミツさん» コメントありがとうございます！まだ1話しか書けておらず、数話まとめての公開にしようと思っていたのですが…1話でもいいよ〜と言っていただけるのであれば公開させていただきます。 (2月26日 22時) (レス) id: f5ec9a9fb0 (このIDを非表示/違反報告)
早夜(プロフ) - ミカサさん» 続編公開しますよ！それまでお待ちください！ (2月26日 22時) (レス) id: f5ec9a9fb0 (このIDを非表示/違反報告)
早夜(プロフ) - いくら丸さん» コメントありがとうございます。楽しく読んでいただけて嬉しいです。続編は公開致しますので少々お待ちくださいませ。 (2月26日 22時) (レス) id: f5ec9a9fb0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：早夜 | 作成日時：2023年12月12日 0時
