四話 腹に銃弾 ページ5
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音を立てずに男の背後を歩く。此処は人が多いから捕まえにくい。路地裏に入ってくれれば良いのだが。
と、ちょうど路地裏に足を踏み入れた。
砂時計を取り出し、掌に乗せ、異能力を発動させる。
男の動きを止めた。
『さっきぶりだね。何で逃げたのかな』
「お前ッッ」
真新しい服を着ているが、血で汚れるだろう。可哀想に。
後ろから足音が聞こえた。ようやく来たか。
『中原さん遅かったね。待ちくたびれ』
パンッ
腹に異物が通った感覚があった。
そして、私のシャツが赤く染まる。撃たれたと気づいた瞬間、異能で傷口の血を止めた。
『服屋に行ったのは仲間を呼ぶためか。ああ、気づかなかったよ。君の勝ちだ』
打たれた時に異能が解けたみたいで、動けるようになった男はニヤリと私の嫌いな笑みを浮かべた。
血は止めてるけど体温までは止められない。寒い。
挟み撃ちの状況じゃ勝てっこないな。どうしたものか。
「厄介な異能の所為で少し手間がかかっちまったじゃねーか。ポートマフィアだけだったら逃げきれたってのによ」
『中原さん、ポートマフィアなのか。で、君も元ポートマフィアだろ』
指先が冷たい。
男は少し目を見開いた後、鼻を鳴らした。
『元ポートマフィアだったから闇商売なんてお手の物。その事を夏野由美にバレて、彼女が軍警察へと連絡しようとした素振りが見えて殺した。
私はそれでお前を殺しに来た。
中原さんは、お前がポートマフィアという札を使って乱用していたから処罰に来た。
そして、中原さんはお前の元上司だったから、あんなに青ざめて居たってわけだ。凡て納得がいく』
空中に浮かぶ砂時計を見れば、あと一分くらいだろうか。
ばっと横に体を避けた。
後ろに居た奴がまさかの短刀持ち。気配に気づいて横に避けれたから良かったけど。
『チッ、中原遅せぇ!!』
また短刀が向かってくるから、もう最終手段でベストの裏ポケットから拳銃を一丁取り出し、発砲。短刀に当たり、奴から弾き飛ばされて壁に刺さった。
と、砂時計がサラサラと消えていく。同時に血が流れ出ていくのが判った。
やばい、これは。
咳き込んで、吐き出されたのは赤い液体。借金返してないのに死ぬのは勘弁。
私が動けないのを見計らってか知らないけど、腹部を蹴られた。巫山戯んなよ。動けてたら倍返しにしてやってたからな。
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早夜(プロフ) - わにゆずさん» ありがとうございます!忙しくて放置していたら、もうすぐ1ヶ月経ってしまうところでした。近々更新しようと思ってるので待っててください!! (7月2日 11時) (レス) id: f5ec9a9fb0 (このIDを非表示/違反報告)
わにゆず(プロフ) - がんばってください! (6月13日 21時) (レス) @page21 id: b8157db853 (このIDを非表示/違反報告)
志希 - めっちゃ面白いです!!!更新待ってます!頑張ってください!! (2023年3月16日 19時) (レス) @page14 id: c4ce57e384 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:早夜 | 作成日時:2023年3月8日 17時