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三話 逃亡者探し ページ4

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『アンタ名前は?』

「中原中也だ。手前は、石川で合ってんのか?」

『合ってるよ。んじゃ、見つけたら云うから聞き逃すなよ』





助走をつけて、ボロボロの建物の2階窓に手を掛け屋根へと軽々と伝って行く。

屋根の上に着いて下を見れば、橙色の男が少し目を丸くして私を見ていた。いい気味だ。






『中原さん、間抜け顔してないでさっさと探し行ったら?』

「手前……」





顔にピキッと引き攣った。

おっと、余計なこと云っちゃったかもね。



中原に捕まる前にその場を最速力で走り去る。

街の方を見ながら、建物と建物の間も見ながら探し回るけど見つからない。


彼奴、何処に逃げた?


紛れられる場所と云ったら街中しかない。街中……あー、判ったかも。





腰に付いた鞄から砂時計を取り出し、掌に乗せる。





一握の砂





緑色の光を浴びて、砂時計は掌の上を浮かび上がった。

私の声が届くように、周りの音を止める。



そして、息を大きく吸って





『なーかはーらさーん!!街中の服屋に居るかもしれないから探して!!』





私の声はとても響いた。

但し、中原と部下にしか聞こえないように他人の耳も一時的に止めたから大丈夫。



私の異能は、対象物を止めることができる。

砂時計の砂が落ち切るまでという時間制限があるけれど。




例えば、車でも、雲の動きでも、呼吸も、心臓も、何でも止められる。

時間制限があるが。ココ大事。凄く大事だから2回云うね。






私も建物の上から飛び降り、街中の服屋を探す。

一つみっけ。



中を覗くがそれらしき人は見当たらない。此処は違う。



タッと駆け出して、また店を見つけたが其処にも居ない。と思いきや。





「ねぇ、君、お菓子持ってない?」





話しかけられた。

振り返れば茶色い帽子に上着の男性。





『飴なら。私急いでいるので』






棒付きの飴しかなかった。其れを彼の掌に乗せて踵を返そうと思ったら、次は腕を捕まれた。






「君が探しているのはあの人だろう?」

『え?』





彼が指さした方を辿れば、離れた服屋からちょうど出てきた彼奴が居た。

色々情報が追いつかないが、とりあえず礼を言おう。






『本当にありがとう!!今度会ったら何か奢る!!』

「君よく判ってるじゃないか!」






ご満悦な顔で軽く手を振ってきた彼に軽く手を振り返し、ダッと駆け出した。

四話 腹に銃弾→←二話 橙色の男



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早夜(プロフ) - わにゆずさん» ありがとうございます!忙しくて放置していたら、もうすぐ1ヶ月経ってしまうところでした。近々更新しようと思ってるので待っててください!! (7月2日 11時) (レス) id: f5ec9a9fb0 (このIDを非表示/違反報告)
わにゆず(プロフ) - がんばってください! (6月13日 21時) (レス) @page21 id: b8157db853 (このIDを非表示/違反報告)
志希 - めっちゃ面白いです!!!更新待ってます!頑張ってください!! (2023年3月16日 19時) (レス) @page14 id: c4ce57e384 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:早夜 | 作成日時:2023年3月8日 17時

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