十五話 行方不明者 二名 ページ17
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「太宰が行方不明ぃ?」
国木田が怪訝な顔をした。
敦が両腕を軽く広げ、訴えるかのように「電話も繋がりませんし、下宿にも帰ってないようで」と云う。
「また川だろ」
「また土中では?」
「また拘置所でしょ」
云いたい放題云う3人に呆れつつも「しかし、」と言葉を濁す。
「先日の一件もありますし………真逆マフィアに暗殺されたとか………」
心配と不安が入り交じった表情をして上目遣いで国木田を見つめる敦に国木田は「阿呆か」と一喝した。
涼し気な顔でお茶を飲む。
「あの男の危機察知能力と生命力は悪夢の域だ。あれだけ自 殺未遂を重ねてまだ一度も死んでない奴だぞ。
己自信が殺せん奴を
マフィア如きが殺せるものか」
国木田の言葉にも一理ある。
それでも心配な敦は何処か煮え切らない様子で。
「でも、姉さんも連絡つかないんです……家に行っても居ないし、電話も繋がりません」
はぁ?と思わぬ言葉に国木田は片眉を上げる。
すると、ソファで寝転がっていた乱歩が口を開いた。
「Aなら、今までの依頼を片付けてから
「そうなんですけど……昨日の夜、凡て依頼は片付けたと連絡があって。今日下宿に荷物を移動させるから手伝って欲しいと頼まれてたんです」
太宰の時よりも少し青ざめた顔をした敦を見て、乱歩は目を開きながら思わず上半身を起こした。
肘掛けに座っていた賢治も「僕も連絡してみましょうか?」と携帯を弄り始めた。
そんな様子を横目で見つつ、国木田は「寝てるとかではないんだな?」と敦に問いかける。
ゆっくりと頷いた。
「二人ともボクが調べておくよ」
ガチャ、
扉から入って来たのはこの間、マフィアにやられた谷崎だった。
無事だったわけは与謝野による治療なのだが___
「何度解体された?」
そう、これだ。
青ざめ、ずんと沈んだ谷崎が絞り出した「4回」という言葉にあー……となんとも云えない空気が流れた。
「敦君、探偵社で怪我だけは絶ッ対にしちゃ駄目だよ……」
震えている。
「もしかして、姉さんも、解体され、て………?」
誰も何も云わない。
云わないのでは無い。云えないのだ。
瞬間、サーッと青ざめた敦は、谷崎の言葉に何度も頷いたのであった。
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早夜(プロフ) - わにゆずさん» ありがとうございます!忙しくて放置していたら、もうすぐ1ヶ月経ってしまうところでした。近々更新しようと思ってるので待っててください!! (7月2日 11時) (レス) id: f5ec9a9fb0 (このIDを非表示/違反報告)
わにゆず(プロフ) - がんばってください! (6月13日 21時) (レス) @page21 id: b8157db853 (このIDを非表示/違反報告)
志希 - めっちゃ面白いです!!!更新待ってます!頑張ってください!! (2023年3月16日 19時) (レス) @page14 id: c4ce57e384 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:早夜 | 作成日時:2023年3月8日 17時