十話 負い目を感じていた ページ11
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カチャリ。
カップの音だけが響く静かな空間。
思い詰めた顔をして、俯いている。
会えるのなら、会いたい。そう思ったが、何を云えば良いのだろうか。懺悔から始めるか？それとも……
外から聞こえた楽しそうな会話。
弟の声だろうか。若し、そうならば良い処に巡り会えたと思う。
心臓の音が早くなる。
なるべく平然を装おうと、珈琲を一口。ちょうど、扉が開いた。
音が鳴った。
「皆さん、お揃いで」
女給さんの言葉に顔を向ける。その中に見覚えのある顔があった。
目が合った。
優しい色をした目が見開いた。
そして、一歩足が出る。もう一歩。段々早くなり、終いには駆け出して来る。
崩れるようにして抱きついてきた。抱きつくってよりは飛びつくの方が合ってるかもしれない。
「敦君？」
ほら、君の行動に皆、吃驚してるよ。
「＿＿＿何で、一度も連絡してくれなかったんだ」
『＿＿＿負い目があったから』
「なんで姉さんが負い目なんて感じるんだよ」
『私が出ていったせいで、敦に怖い思いをさせてしまったこと。
私が出ていったせいで、敦に責任を負わせてしまったこと。
私が出ていったせいで、敦が施設を追い出されたこと。
凡てに対して負い目を感じている』
ポンポン、と背中を優しく叩くと、体が離れて顔がよく見える。
昔と変わらない、表情。泣きそうで我慢している表情。そうさせてしまった。
ギュッと両手を包み込み、微笑んだ。
『敦なら大丈夫だって云ったろ？大丈夫だったじゃん。流石、私の弟だ！
…………もう、泣いていいよ。頑張ったね』
グッと堪えた優しい色の瞳からツーっと頬に涙が伝う。
一度零したら、溢れて戻すことは出来ない。
静かな雨のように涙は暫く流れ続けた。
止まったのは、私が珈琲を飲み終えた頃。
「敦君。感動な場面で申し訳ないが、其方の方は？」
砂色の外套を羽織った男の人が、静かに敦に声をかけた。
ゴシゴシと目元を擦った敦はハッとし、慌て始める。
「す、すみません！えっと、僕の姉です」
「「「「姉！？」」」」
揃えて声が上がったことに思わず笑みが零れた。
椅子から腰を上げて、敦の横に立ち並ぶ。
『敦がお世話になってます。姉の石川Aと云います』
ぱちぱちと瞬きを繰り返し、私と敦の姿を何度も交互に見返す皆さんにまた笑いが零れた。
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早夜(プロフ) - わにゆずさん» ありがとうございます！忙しくて放置していたら、もうすぐ１ヶ月経ってしまうところでした。近々更新しようと思ってるので待っててください！！ (7月2日 11時) (
レス) id: f5ec9a9fb0 (このIDを非表示/違反報告)
わにゆず(プロフ) - がんばってください！ (6月13日 21時) (レス) @page21 id: b8157db853 (このIDを非表示/違反報告)
志希 - めっちゃ面白いです!!!更新待ってます!頑張ってください!! (2023年3月16日 19時) (レス) @page14 id: c4ce57e384 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：早夜 | 作成日時：2023年3月8日 17時
