090 涙。 ページ10
「な……ないて、ない」
「アリス……？」
「なく、ない。そんな、かんじょう、しらない。……おしえられてない」
アリスは拙い言葉を紡いでいった。
潤む瞳から涙が溢れ、ポタポタと床に染みを作っていく。
「だから……なけない…」
「泣けるよ！教えられるから泣けるんじゃないんだもん！」
未だナイフを向けられたまま、しかしAは怯まずに言い放つ。
「人は悲しいから、嬉しいから、悔しいから……泣くの！そんなの人に教えられるものじゃないじゃんか！」
「おしえられない、のに……なく、できる？」
「出来るよー！アリスだって、今泣いてるしー」
「……わたし、なぜ……なく？」
「それ、アタシに聞くのっ？」
「これ……どうすれば、いい？」
これ……と言い、アリスは自分の涙を指した。
困ったように眉を顰め、大きな瞳から涙をこぼすアリス。
Aは床に膝を付き、両腕を開いて言う。開花したひまわりの印象に似る、飛びっきりの笑顔付きで。
「おいで！なでなでしてあげるよー！」
「……っ、！」
アリスは駆け出した。
ただ無我夢中に走る。
Aのあの温もりへ。安心させてくれる、あの胸の中へ。
Aに飛び付いて、思いきり抱き締めた。
服越しに伝わる暖かな体温に、アリスは顔をくしゃくしゃにする。
「………、っ…ふぇ…ふぇえぇぇん！」
安心したら、涙が出てきて。
Aの胸の中が暖かくて、
生きててくれて嬉しくて。
しかし、それは今までの居場所を裏切る結果になってしまって、
これから、どう生きて行けばいいかなんて分からなくて、不安で。
矛盾した二つの感情に潰されそうになった。
「よーし、よーし」
でも、そう言って頭を撫でてくれるAの優しさにひどく甘えたくなった。
今は泣きたいような気がする。
Aの胸にすがって、全部を吐き出してしまいたいような気がする。
アリスは思った。
“母親”とは、これなのだろうと。
暖かくて、全部を受け止めてくれる存在……、きっとこれが“母親”。
ラッキーアイテム
革ベルト
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レナ(プロフ) - なるほど。ありがとうございます (2015年9月22日 12時) (
レス) id: a3dc584c6d (このIDを非表示/違反報告)
紅うさぎ(プロフ) - レナさん» そうですね。番外編は本編とは別なので、なんとなく察してもらえたらいいです (2015年9月22日 11時) (携帯から) (レス) id: 6f89c7bf5f (このIDを非表示/違反報告)
レナ(プロフ) - もう君だけの体じゃないんだからって恭弥が入っていたので、この事件？は終わってたのかなぁと (2015年9月22日 11時) (レス) id: a3dc584c6d (このIDを非表示/違反報告)
紅うさぎ(プロフ) - レナさん» あぁ、そうですか。 終わっていたとはなんですか？ (2015年9月22日 10時) (携帯から) (レス) id: 6f89c7bf5f (このIDを非表示/違反報告)
レナ(プロフ) - 冗談ですよ汗 そう言えば、未来に行った時にはすでにこれは終わっていたのですか？ (2015年9月22日 10時) (レス) id: a3dc584c6d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅うさぎ
| 作成日時：2015年3月31日 13時
