検索窓
今日:23 hit、昨日:6 hit、合計:381,167 hit

ページ9

靴下を、来るだけ患部に触れないようにゆっくりと巻いていく。

「いや、えっ、何してるの?靴下、血と膿で汚れるって!」

「見ての通り、包帯巻いてるの。靴下だけど。空気に触れなくなれば、痛みも幾分かマシになるでしょ」

「いやいや悪いって!大丈夫だから!」

「私がしたいだけ。黙ってて」

ぴしゃりとそう言うと、不動は少し俯いて、

「ありがとう……」

と呟いた。

少し嬉しくなったが、構わないふりをして、黙って包帯を巻き続けた。

「いっ……!」

少し患部に触れたらしく、不動の膝が跳ね上がった。

その拍子に、私の指先までが、患部に触れてしまった。

「ごめん」

彼は痛そうに足を抱えた。

「大丈夫大丈夫。痛みには慣れてるから。じきに引いてくるし」

そうは言うものの、不動の顔は汗でびっしょりだった。

数十秒もすると、本当に痛みに慣れてしまったらしく、

彼は不格好にまとわりついていたハイソックスを剥がし、私に渡した。

「ごめん。役立つどころか、むしろ傷つけちゃって」

「大丈夫だよ。それに、前の蝮に比べたたら、役立とうとしてくれるだけでも大躍進だよ」

そう言って、不動は笑ってくれた。

申し訳なさで胸が一杯になる。

「気にすることありませんよ。数百年前の蝮は気遣いすら出来なかったんですから」

「ああ。自分の服を汚してまで不動を助けるなんてな。以前のお前じゃ有り得ん」

宗三と長谷部が必死にフォローしてくれた。

フォローになってるかは別として。

「それに、心なしか痛みもましに……」

そこまで言って、不動は言葉を切った。

何事かと視線を追うと、私も絶句する。

続いて、長谷部、宗三も青ざめた顔になった。

不動の傷口が綺麗に塞がっていたのだ。

果てしない寂寥感→←薬研藤四郎と謂う刀



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (336 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
971人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ツキアカリ - キリンの妖精、キリンロングさん» ありがとうございますm(_ _)m語彙力おばあちゃんにならないように頑張ります(?) (2019年5月18日 23時) (レス) id: 5a16b46531 (このIDを非表示/違反報告)
キリンの妖精、キリンロング - 世代交代(?)頑張って下さい←語彙力の枯渇 (2019年5月18日 22時) (レス) id: 390c1ef0c5 (このIDを非表示/違反報告)
ツキアカリ - ふはいねこさん» 応援ありがとうございます!期待に添えられるように頑張りますね(。・ω・。)ゞ (2019年5月17日 23時) (レス) id: 5a16b46531 (このIDを非表示/違反報告)
ツキアカリ - 前作者さん» 読みました、自分の文章力でどこまでできるか分かりませんが、この作品をもっとよく出来るように頑張ります! (2019年5月17日 22時) (レス) id: 5a16b46531 (このIDを非表示/違反報告)
ふはいねこ - ツキアカリさん» はじめまして。作者交代お疲れ様です(?) 二代目になっても応援してますね。頑張ってください。 (2019年5月17日 22時) (レス) id: 5701e6bc20 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作成日時:2018年12月25日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。