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かつての幸せに想いを馳せて ページ7

じゃあ、と私はひとつめを尋ねた。

「どうして、審神者のことを『主』とは呼ばないの?」

やはり、ブラック本丸の主だからなのだろうか。

「それはですね……僕たちには、前任者がいたからなんですよ」

そう言って、宗三は懐かしがるように目を細めた。

「前任者?」

「前の主です。聡明で、優しい人でした。霊力も綺麗でしたし。

今の審神者は、愚かで、霊力も量は有り余っていますが、質が悪い。

貴方が、審神者と会ってもいないのに顕現されたのは、この有り余る霊力が原因です」

じゃあ、私がこっちの世界に来たとき私に入り込んできた、あの生ぬるいもの……

あれは霊力だったんだ。

「僕が……いえ、すみません。僕らが主として慕う審神者は、彼のみです」

つまり、その人がいつまでも自分たちの主だということか。

「でも、その人はどうしてやめたの?」

「さあ?ある日突然、本丸に来なくなってしまいました。僕たちは知る由もありません。

喋ったこともありませんしね」

「え?」

喋ったことがない?審神者なのに?

「はい。病弱だとかなんかで、家からメールだけでやり取りしてました。

僕たちは彼が人間であることしか知りません。

一昔前までは、そんなケースも結構ざらにありましたよ」

そうなんだ。

不動も長谷部もうんうんと頷いており、本当に、前任者は慕われてたんだな、と思う。

どんな人なんだろう。


「それで、ふたつめは何だ」

長谷部が訊いてきた。

「本当に、何でも訊いて良いんだよね?」

「まあ、僕たちが答えうる範囲であれば」

じゃあ、訊きづらいけど、訊いてしまおう。

「薬研って、もともとはあんな感じじゃなかったよね?」

そう言うと、宗三の笑顔が凍り、二人は一斉に目を伏せた。

薬研藤四郎と謂う刀→←人は其れを地獄と云う



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ツキアカリ - キリンの妖精、キリンロングさん» ありがとうございますm(_ _)m語彙力おばあちゃんにならないように頑張ります(?) (2019年5月18日 23時) (レス) id: 5a16b46531 (このIDを非表示/違反報告)
キリンの妖精、キリンロング - 世代交代(?)頑張って下さい←語彙力の枯渇 (2019年5月18日 22時) (レス) id: 390c1ef0c5 (このIDを非表示/違反報告)
ツキアカリ - ふはいねこさん» 応援ありがとうございます!期待に添えられるように頑張りますね(。・ω・。)ゞ (2019年5月17日 23時) (レス) id: 5a16b46531 (このIDを非表示/違反報告)
ツキアカリ - 前作者さん» 読みました、自分の文章力でどこまでできるか分かりませんが、この作品をもっとよく出来るように頑張ります! (2019年5月17日 22時) (レス) id: 5a16b46531 (このIDを非表示/違反報告)
ふはいねこ - ツキアカリさん» はじめまして。作者交代お疲れ様です(?) 二代目になっても応援してますね。頑張ってください。 (2019年5月17日 22時) (レス) id: 5701e6bc20 (このIDを非表示/違反報告)

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作成日時:2018年12月25日 22時

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