検索窓
今日:9 hit、昨日:6 hit、合計:381,153 hit

「待ってたよ」 ページ32

[夕餉を楽し
 みに待っていろ

 つうみをみし ろゆつげにゆにげ

 いをいのまた(ひるま) みたみのつをろげいゆ にゆみし

 てゆにげつをいゆにげろげ

 ろをつげいゆいゆつし つゆつしろうにゆ

 にゆつをまうみゆ ろげろゆろゆつげまをつをみたみの

 ろうつしいげまゆろをみう にゆにう]

そう書いてあった。

大体、言いたいことは分かった。

私の読み取り方が合っていれば、事態としては最悪だ。

暗号に示された内容は、こう。

[審神者が気づいた。昼間は部屋の中にいろ。

織田の刀は、二日間、遠征に行く。


亥の刻、鳴狐の部屋へ、戦闘服で行け]

織田軍の忍びが使っていた暗号。

長谷部は、私が蝮の記憶を知りつつあるのを察知していたのか。

鳴狐の部屋……?そこに何かあると言うのだろうか。

幸い、織田部屋の時計は十二時辰だ。亥の刻は分かる。

だが、鳴狐の部屋の場所は書いていない。

まあ、粟田口短刀の部屋は割合近所だった。鳴狐もきっとそうだろう。

とにかく、鳴狐の部屋を探そうにも、今は部屋から出られない。

亥の刻になる、夜を待とう。


何も出来ず呆けていると、寝落ちしてしまっていたことに気づいた。

戌の刻が終わりかけていることを、時計が指し示していた。

慌てて箪笥を漁り、戦闘服を探した。

見つけるのに少し時間がかかり、私を尚焦らせた。

着替え終わると同時に、音に気をつけて部屋を出る。

薬研の気配はない。

大丈夫。ここは太刀や大太刀はいない、短刀と脇差ばかりの場所だし、審神者にはバレない。

そう言い聞かせて、鳴狐の部屋を探した。


鳴狐の部屋は、すぐに見つけられた。

部屋を見つけた瞬間、私は長谷部がここを選んだ訳を察した。

ここは、畑と馬小屋のすぐ側。

審神者の部屋から、最も遠い所。

部屋に掛かっている名札をもう一度確認し、さて、ノックをしたのか方が良いのか悩んでいると、内側から障子が開いた。

私の気配を察知したのだろう。

「鳴狐……」

私が喋ろうとすると、彼はそっと口に人差し指を立てた。

「よく来たね。待ってたよ」

聞き取りにくい、低音の小声が微かに聞こえた。

「ついてきて」

私は彼にいざなわれるまま、畑へ歩いていった。

前話解説→←走り書きの紙切れ



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (336 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
971人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ツキアカリ - キリンの妖精、キリンロングさん» ありがとうございますm(_ _)m語彙力おばあちゃんにならないように頑張ります(?) (2019年5月18日 23時) (レス) id: 5a16b46531 (このIDを非表示/違反報告)
キリンの妖精、キリンロング - 世代交代(?)頑張って下さい←語彙力の枯渇 (2019年5月18日 22時) (レス) id: 390c1ef0c5 (このIDを非表示/違反報告)
ツキアカリ - ふはいねこさん» 応援ありがとうございます!期待に添えられるように頑張りますね(。・ω・。)ゞ (2019年5月17日 23時) (レス) id: 5a16b46531 (このIDを非表示/違反報告)
ツキアカリ - 前作者さん» 読みました、自分の文章力でどこまでできるか分かりませんが、この作品をもっとよく出来るように頑張ります! (2019年5月17日 22時) (レス) id: 5a16b46531 (このIDを非表示/違反報告)
ふはいねこ - ツキアカリさん» はじめまして。作者交代お疲れ様です(?) 二代目になっても応援してますね。頑張ってください。 (2019年5月17日 22時) (レス) id: 5701e6bc20 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作成日時:2018年12月25日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。