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焦燥 ページ24

「そういえば、どうして政府に通報しないの?ここがブラックだって」

ふと、訊いてみる。

無神経な質問だと、分かってたはいたけど、それを知らなくては先に進めない。

「しようとはした。大分前、あいつが就任したての頃に、一回だけな」

ため息混じりにそう言ったのは、長谷部だ。

「でも、駄目だった。

審神者は刀剣破壊ギリギリまで進軍させてくるから、成績が頭ひとつ抜けているみたいでな。

ブラック本丸と薄々気づいてはいるらしいんだが、なかなか取り潰そうとしてくれない」

「でも、その体制は、最近では見直されつつあるじゃないですか」

宗三が言った。

「それよりも厄介なのは、もうひとつの理由です」

宗三は続ける。

「今はあいつの霊力で顕現されてる僕らは、あいつが言霊を発すれば従わざるを得ません。

せめて、あいつの霊力が弱まる結界より外に出るか、逆にあいつを結界の外に出せれば良いのですが」

「なるほど……」

これは良いヒントになったかも。

「あれ?じゃあ、不動が前回逃亡を図ったのって……」

「ああ。政府に告発する為に、結界から出ようとしたんだ。

でも、本体が別の所にあったせいで、惨憺たる結果に終わっちゃった訳だけど」

そう言って、不動は下唇を噛む。

「本体ってどこにあるの?それさえ分かれば……」

「分からない。出陣、遠征、演練の時に薬研がどこからか運んできて渡してくる。

……薬研なら、きっと知ってるだろうけど」

薬研……。

かつて、私の最愛だったはずなのに、この二日で、薬研を怖いと感じるようになってしまった。

きっと、不動や乱が言うように、薬研は、ただ審神者に気に入られているだけで、悪いわけではないのだろう。

でも……

私を折ろうとした時の、感情の読み取れない瞳。

何を考えているんだろう。


そこで、ふと気づいた。

私は、薬研藤四郎という存在を、敬遠し始めていることに。

食事という名の豆鉄砲→←タイムリミット



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ツキアカリ - キリンの妖精、キリンロングさん» ありがとうございますm(_ _)m語彙力おばあちゃんにならないように頑張ります(?) (2019年5月18日 23時) (レス) id: 5a16b46531 (このIDを非表示/違反報告)
キリンの妖精、キリンロング - 世代交代(?)頑張って下さい←語彙力の枯渇 (2019年5月18日 22時) (レス) id: 390c1ef0c5 (このIDを非表示/違反報告)
ツキアカリ - ふはいねこさん» 応援ありがとうございます!期待に添えられるように頑張りますね(。・ω・。)ゞ (2019年5月17日 23時) (レス) id: 5a16b46531 (このIDを非表示/違反報告)
ツキアカリ - 前作者さん» 読みました、自分の文章力でどこまでできるか分かりませんが、この作品をもっとよく出来るように頑張ります! (2019年5月17日 22時) (レス) id: 5a16b46531 (このIDを非表示/違反報告)
ふはいねこ - ツキアカリさん» はじめまして。作者交代お疲れ様です(?) 二代目になっても応援してますね。頑張ってください。 (2019年5月17日 22時) (レス) id: 5701e6bc20 (このIDを非表示/違反報告)

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作成日時:2018年12月25日 22時

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