嘘から出た誠の愛【一様リクエスト:スパイ夢主、切甘両想い】 ページ10
『ん…』
身を捩る。
薄明りの中で彼が煙草を吸っていた。
情事の後特有の気怠さに輪をかけて、重い。
此れは、心が軋るせいだ。
「流華…起こしたか?」
『ううん』
優しい声に甘く笑んで応える。
全て嘘のはずだった。
私はスパイ。小汚い鼠。
ポートマフィアを潰す目印。
それだけの、はずだった。
それが…嘘から出た誠。
深く潜り込んで、彼を知る度に。
喧嘩っ早くて、暴力的。
其のくせ、一旦懐に入れた相手には何処までも甘くて兄貴肌。
なのに笑うと可愛い所もって。
いつの間にか、私は…。
本当に、彼を…中原中也を愛していた。
「なァ」
『何?』
「愛してる」
『ふふ』
はぐらかす私に、彼は拗ねた顔をする。
でも、云えない。
いつか嘘とバレた時に。
本心まで偽ってしまうのはあまりに辛い。
だから。
痛む感情に蓋をした。
※
「手前ェに自由をやる」
ある日。
中也から呼び出されて、そう告げられた。
一瞬ぎくりとしたが、なんとか隠して首を傾げてみせる。
そんな私に彼が放り投げたのは紙切れが3枚だけ。
それを確認して。
思わず涙が止まらなくなった。
一枚目はポートマフィアとの契約書。
二枚目は、私の弟の転院に関する書類。
『…嘘、なんで…』
「手前ェが敵組織のスパイってのは分かってた」
『なら…なんで!?』
「毎日云ってンだろ」
愛してる。
彼の唇がそう動いた。
「手前ェがあの組織に心酔してンなら真っ向から話そうと思った。
が、調べてみりゃ病気の弟人質に取られてると来た」
ならば、首輪を断ち切ってから話しても遅くはない。
「違うか?」
『違わない…』
「なら、さっさと其処に署名しろ」
三枚目の書類は。
中也の署名捺印の済んだ、婚姻届。
あんまりにも急展開で子供みたいに泣きじゃくって。
そんな私の背を撫でた中也の笑顔が。
ただ愛おしかった。
――――
リクエストを頂きました。
一様誠にありがとうございます!
このようなモノでよろしかったでしょうか?
可能であれば感想をお願いいたします。
2016年11月3日ちょこ
遊戯の夜【壽巳様リクエスト:Sでヤンデレ中也】→←学生恋話【パピルス様リクエスト:『学生生活』続編】
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ちょこ(プロフ) - パピルスさん» お待たせしました!先刻其の11にてアップ完了いたしましたのでご確認お願い致します。 (2017年10月29日 22時) (レス) id: 25228574eb (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - パピルスさん» お久しぶりです!!お返事遅くなり申し訳ありません!!(;´・ω・)リクエスト誠にありがとうございます!!10/27-29日頃アップにて書かせて頂きます!少々お待ちくださいませ! (2017年10月26日 0時) (レス) id: 25228574eb (このIDを非表示/違反報告)
パピルス - 記憶の雨の続編をリクエスト宜しいでしょうか。何年か過ぎて生まれ変わった2人を書いて頂きたいです!記憶は全くないけど何処か知っているような感じで惹かれ合うお話を書いて頂きたいです!お願いします(人´∀`*) (2017年10月23日 23時) (レス) id: 8aa7434c54 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - 黒鶫文佳さん» お待たせいたしました!!其の7にてアップさせて頂きました!ご確認よろしくお願いいたします! (2016年12月9日 18時) (レス) id: be59381d22 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - ふうかさん» お待たせいたしました!先刻其の7にてアップ完了致しましたのでご確認くださいませ! (2016年12月8日 23時) (レス) id: 2bc1ed36c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちょこ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/koro0311ko1/
作成日時:2016年10月28日 21時