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屋上の幽霊【黒林檎様リクエスト:学パロ、学校に住んでいる幽霊に恋する中也】 ページ26

退屈過ぎる5限目。

中也は初めて授業をサボってみた。
逃げ込む場所は屋上と決めていた。

普段鍵がかかっている上に≪いわくつき≫の場所だ。
誰も来ないだろう。

鍵を壊して押し開けた扉。

冷たい風が渦を巻く。
ジャケットの袖で顔を覆う。

先客がいる。

彼女は風が髪を乱すまま、立っていた。
安全フェンスの向こう側に。

「おい、嘘だろ!?」

慌てる中也。
彼女は微笑んだ。

飛んだ。校庭に向けて。
彼女の髪が、翻ってまるで残像。

慌ててフェンスに走り寄る。

世界は静かだった。
誰の悲鳴もしない。衝撃音もしない。

そして。
確かに彼女が落ちたはずの場所には血の一滴も落ちてはいなかった。

理解不能の現状に蘇る記憶。

彼女が着ていた、あの制服は…確かに夏服だった。

「嘘…だろ?」

まさか…あれが。彼女が…。

『そう、私が【屋上の幽霊】だよ』

ふと、耳元で囁かれて思わず飛び上がった。
慌てて振り向けば、確かに、其処に、先ほど飛び降りた彼女が笑っていた。

「手前ェ!」

何か仕掛けが、とまずは疑った。だが、思い出す。先ほどの囁き。
人間らしい温かみのない吐息。

目の前の、ごく普通の女は…間違いなく幽霊なのだ。

「…一つ、聞かせろ」
『ん?』
「なんで、死んだンだ?」
『分からない…正確には私には、記憶がない。
名前も、歳も、いつの時代に生きたのか。分からない。
調べたいけど、私は屋上にしか存在できないから、それもできない』

彼女の切なげに伏せられた眼と、穏やかに笑む唇に奇妙な程、惹かれた。

「なら、手前ェは今日から流華だ」
『え?』

彼女は眼をぱちくり。

「呼ぶ時、困るだろ?」
『また、来てくれるの?』

とても嬉しそうな顔が可愛くて。

「また、明日な、流華」

手を伸ばすと、ひんやりした肌に、触れた。

――――

リクエストを頂きました。
黒林檎様誠にありがとうございます!
このようなモノでよろしかったでしょうか?
可能であれば感想をお願いいたします。

2016年11月18日ちょこ

貴方に捧ぐ【黒林檎様リクエスト:中也に肝臓を提供する夢主】→←嘘から出た誠の結実【流れ星様リクエスト:「嘘から出た誠の愛」続編】



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設定タグ:文スト , 文豪ストレイドッグス , 中原中也   
作品ジャンル:アニメ
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ちょこ(プロフ) - パピルスさん» お待たせしました!先刻其の11にてアップ完了いたしましたのでご確認お願い致します。 (2017年10月29日 22時) (レス) id: 25228574eb (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - パピルスさん» お久しぶりです!!お返事遅くなり申し訳ありません!!(;´・ω・)リクエスト誠にありがとうございます!!10/27-29日頃アップにて書かせて頂きます!少々お待ちくださいませ! (2017年10月26日 0時) (レス) id: 25228574eb (このIDを非表示/違反報告)
パピルス - 記憶の雨の続編をリクエスト宜しいでしょうか。何年か過ぎて生まれ変わった2人を書いて頂きたいです!記憶は全くないけど何処か知っているような感じで惹かれ合うお話を書いて頂きたいです!お願いします(人´∀`*) (2017年10月23日 23時) (レス) id: 8aa7434c54 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - 黒鶫文佳さん» お待たせいたしました!!其の7にてアップさせて頂きました!ご確認よろしくお願いいたします! (2016年12月9日 18時) (レス) id: be59381d22 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - ふうかさん» お待たせいたしました!先刻其の7にてアップ完了致しましたのでご確認くださいませ! (2016年12月8日 23時) (レス) id: 2bc1ed36c3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちょこ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/koro0311ko1/  
作成日時:2016年10月28日 21時

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