嘘から出た誠の結実【流れ星様リクエスト:「嘘から出た誠の愛」続編】 ページ25
あの日。
中也に差し出された婚姻届け。
額に入れて飾りっぱなしの其れを見つめて、また幸せになる。
私の名前はまだ、書いていない。
今迄、中也と私の間にあった関係は、全て私がスパイとして付いた数々の嘘の上に成り立っていた。
噓から出た恋だけど。
誠になった愛だから。
『本当の私を…知ってほしい』
貴方が愛するに値する女かどうか。
貴方の部下として有能であれるか。
其れを知ってからでも屹度結婚は遅くない。
「分かった。
じゃァ、次は、何処行きてぇ?本当の好みを教えろよ」
拙い説得に微笑んだ彼が、やっぱり好きで。胸が苦しくて。
また、子供みたいにわんわん泣いた。
その日のうちに私の執務室にこの婚姻届けが飾られた。
「手前ェが良いと思ったら、此れに名前を書いてくれ」
泣き腫らした目に何度も唇を寄せる。
その優しさは、本当に狡い。
「なァ、流華」
『何?』
「…愛してる」
少し、不安げな彼が、一転して子供みたいで。
『私も、愛してる』
心の底からそう云えた。
※
あれから2か月。
二人で色んな処に行った。色んな物を見た。色んな話をした。
中也は変わらずにいてくれた。
私の中にある気持ちは強くなる一方だった。
だから。今、なのだと思う。
額を外す。
取り出した紙。
万年筆を取って署名。
迷わぬうちに。
其れを携えて中也を訪ねる。
『中也…愛してる』
此処まで来る間に考えた台詞なんて全部飛んで行って。
顔が火を噴くぐらい熱い。隠すみたいに腰を折って差し出す紙片。
これじゃまるで恋文を渡す女生徒だ。
がちがちに緊張した手から紙が抜き取られる。
途端。体が浮遊した。
「一生…大事にするから」
耳元で、中也の掠れた声がして、やっと抱き上げられたと気づいた。
「流華、愛してる」
嗚呼、また。
私はこの人にかかると本当に泣き虫だ。
――――
リクエストを頂きました。
流れ星様誠にありがとうございます!
このようなモノでよろしかったでしょうか?
可能であれば感想をお願いいたします。
2016年11月16日ちょこ
屋上の幽霊【黒林檎様リクエスト:学パロ、学校に住んでいる幽霊に恋する中也】→←Halloween birthday night!【桜様リクエスト:Halloweenbirthday続編】
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ちょこ(プロフ) - パピルスさん» お待たせしました!先刻其の11にてアップ完了いたしましたのでご確認お願い致します。 (2017年10月29日 22時) (レス) id: 25228574eb (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - パピルスさん» お久しぶりです!!お返事遅くなり申し訳ありません!!(;´・ω・)リクエスト誠にありがとうございます!!10/27-29日頃アップにて書かせて頂きます!少々お待ちくださいませ! (2017年10月26日 0時) (レス) id: 25228574eb (このIDを非表示/違反報告)
パピルス - 記憶の雨の続編をリクエスト宜しいでしょうか。何年か過ぎて生まれ変わった2人を書いて頂きたいです!記憶は全くないけど何処か知っているような感じで惹かれ合うお話を書いて頂きたいです!お願いします(人´∀`*) (2017年10月23日 23時) (レス) id: 8aa7434c54 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - 黒鶫文佳さん» お待たせいたしました!!其の7にてアップさせて頂きました!ご確認よろしくお願いいたします! (2016年12月9日 18時) (レス) id: be59381d22 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - ふうかさん» お待たせいたしました!先刻其の7にてアップ完了致しましたのでご確認くださいませ! (2016年12月8日 23時) (レス) id: 2bc1ed36c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちょこ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/koro0311ko1/
作成日時:2016年10月28日 21時