中原先生と太宰先生 ページ20
このヨコハマの地には多くの出版社が存在する。
その中で特に突出しているのがPM出版と福沢出版である。
今迄はライバル関係にあり、作家の貸し借りなどご法度。パーティーで顔を合わせれば腹の探り合い。そんな関係だった。
しかし、先ごろ海外大手のフィッツ出版からの買収話が持ち上がった。
それをきっかけに、二社は現在友好関係にある。
今回の仕事は、その流れで成り立った。
かつて、ホラー小説ファンを騒然とさせた≪双黒≫という一冊の本。
ファンの間では今も伝説と云われるその本は二人の新人作家による共著だった。
その作者の一人こそ、流華が現在担当している中原中也。
もう片方は、4年前絶筆宣言と供に失踪、2年後福沢出版で復帰し世間を騒がせた太宰治。
両社の友好を記念して、この度≪双黒≫の続編を出版する運びとなったのだ。
が。
なんと云ってもこの2人の不仲は業界では有名なのだ。
『中也、本当今回だけは喧嘩しないでね』
「あの青鯖野郎が仕掛けてこなけりゃなンもしねェよ」
打ち合わせに同行する前からこの調子。
まるで小さな中也が頭蓋骨の中で暴れてるみたいにガンガンする。
まあ、中也はもともと小さいけども。
「なンか今失礼な事考えたろ?」
『イイエナニモ』
危ない、危ない。両手をホールドアップ。
中也はそんな流華に一つ鼻を鳴らして外出用の帽子と黒コートを身に纏う。
「行くぞ」
『はい』
流華も気を引き締めた。
※
結果から云おう。
会合は散々だった。
まず、最初の挨拶。
「中也、相変わらず小さいね!」
太宰治は開口一番そう言い放ったのだ。
此れに短気な中也が黙っているはずもなく。
太宰治の担当、国木田独歩と流華が名刺交換をしている間。
小学生か!という喧嘩が絶え間なく続き。
ついには、打ち合わせ中の喫茶店のテーブルが宙を舞った。
比喩なら、どれだけ良かったか。
本当に、中也が投げたのだ。太宰めがけて。
それからはそれぞれの担当が作家を取り押さえ、店に謝罪して。
今日は其れで終わった。打ち合わせなんて全くなかった。
『もおおおおお、莫迦中也!!』
叫ぶ流華を慰める者は、此処にはいなかった。
中原先生と嫉妬→←中原先生と校閲さん【青紫様リクエスト:現パロ、作家中也と校閲夢主】
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ちょこ(プロフ) - パピルスさん» お待たせしました!先刻其の11にてアップ完了いたしましたのでご確認お願い致します。 (2017年10月29日 22時) (レス) id: 25228574eb (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - パピルスさん» お久しぶりです!!お返事遅くなり申し訳ありません!!(;´・ω・)リクエスト誠にありがとうございます!!10/27-29日頃アップにて書かせて頂きます!少々お待ちくださいませ! (2017年10月26日 0時) (レス) id: 25228574eb (このIDを非表示/違反報告)
パピルス - 記憶の雨の続編をリクエスト宜しいでしょうか。何年か過ぎて生まれ変わった2人を書いて頂きたいです!記憶は全くないけど何処か知っているような感じで惹かれ合うお話を書いて頂きたいです!お願いします(人´∀`*) (2017年10月23日 23時) (レス) id: 8aa7434c54 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - 黒鶫文佳さん» お待たせいたしました!!其の7にてアップさせて頂きました!ご確認よろしくお願いいたします! (2016年12月9日 18時) (レス) id: be59381d22 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - ふうかさん» お待たせいたしました!先刻其の7にてアップ完了致しましたのでご確認くださいませ! (2016年12月8日 23時) (レス) id: 2bc1ed36c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちょこ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/koro0311ko1/
作成日時:2016年10月28日 21時