ヘリオトロープ【八紡陽人様リクエスト：中也がヘリオトロープの花を夢主に渡す話】 ページ45
初夏。甘い香りが空気を染め上げる。
木立瑠璃草(ヘリオトロープ)。匂ひ紫、香水草という別名を持つ花の香り。
中也はこの花が好きだ。
幼い頃。世話になっていた紅葉の家で、この花を見つけて一目で気に入った。
柄では無いと思うが、今では郊外に土地を借りて、3月には種を撒く。
と云っても、多忙なので、世話はほとんど人任せだ。
それでも花は律儀で、初夏が来れば咲き誇って、中也を出迎えてくれる。
戯れにそんな話を恋人の流華に聞かせたら『見たい！』と目を輝かせた。
だから。久しぶりの休日。流華を助手席に乗せて。
向かう先はもちろん、郊外の土地。
『わぁ、綺麗！』
到着するなり、流華は車から飛び出して。
「転けンなよ！」
中也の忠告もお構いなし。
気ままな蝶々みたいに花から花へ走り回って。
目を閉じて、大きく息を吸い込んで。
『私も、この花、好き！』
全身で喜びを表現する流華の笑顔。
思わず、中也の頬に朱が差した。
※
それから、初夏の花見は、二人の恒例行事になった。
いつの間にか、流華が立木瑠璃草の世話を買って出てくれるようになった。
中也が花を見に行くと、泥だらけで花の世話をしている流華と遭遇する事もあった。
そんな姿を見て。
歳を重ねても、屹度流華はこうなのだろうと。当たり前のように未来を想像した。
それが、中也には大きな驚きだった。
明日をも知れぬ職業だ。今まで、未来なんて、考えた事などなかった。
嗚呼。これが、そういうことか。
すとん、と腑に落ちた。
次の休日。
流華を連れて、中也は立木瑠璃草を見に来た。
「なァ、流華」
『なぁに？』
一房、二房、花を手折る。
「この花は、男の心変わりに嘆いた女が、花に姿を変えて出来って神話がある」
もう一房。もう一房。
手の中には、立派な花束が出来ていた。
「俺は、そんな風に手前ェを悲しませなねぇ。約束する」
『…中也？』
「結婚してくれ、流華」
差し出した花束の向こうに、泣き笑いの流華が見えた。
――立木瑠璃草。花言葉は＜愛よ永遠なれ＞。
――――
リクエストを頂きました。
ありす様誠にありがとうございます！
このようなモノでよろしかったでしょうか？
可能であれば感想をお願いいたします。
2017年4月24日ちょこ
死人の血【ありす様リクエスト：死人の心続編】→←地底の愛【葵様リクエスト：地底の始続編】
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ちょこ(プロフ) - メガネコさん» お待たせいたしました！其の十にてアップ完了いたしましたので、ご確認よろしくお願いいたします！ (2017年4月30日 21時) (
レス) id: 25228574eb (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - 葵さん» お返事遅くなりすいません！ご確認誠にありがとうございます！わわ有難いお言葉感謝です！続編のご希望嬉しいです！4/30-5/2日頃アップにて書かせて頂きます！少々お待ちくださいませ！ (2017年4月28日 22時) (レス) id: 25228574eb (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - 777さん» 某コンビニのアレですか！いいですね、羨ましい！作者田舎住まいでまだゲットできてないのです！ (2017年4月28日 22時) (レス) id: 25228574eb (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - 777さん» お返事遅くなりすいません！お久しぶりです！リクエスト誠にありがとうございます！精神ごと6歳に戻った中也さんのお話ですね、畏まりました！4/30-5/2日頃アップにて書かせて頂きます！少々お待ちくださいませ！ (2017年4月28日 22時) (レス) id: 25228574eb (このIDを非表示/違反報告)
葵 - 続編ありがとうございます!!わああ!!嬉しい!! ちょこさんの中也さんが大好きです!!もしよければまた続編書いて頂けないでしょうか? (2017年4月28日 5時) (レス) id: 71981e8c07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちょこ | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/novel/koro0311ko1/
作成日時：2017年2月25日 15時
